国立大学法人 岡山大学

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岡山大学病院に「小児・AYAがん総合センター」を新設

2024年03月27日

 2024年4月1日、小児・AYA世代(0~39歳)の血液・腫瘍疾患の患者さんに対して、小児期から成人期に至るまで切れ目なく総合的な診療と支援を行う「小児・AYAがん総合センター」を岡山大学病院に新設します。同センターは、診療科等の枠を超えて総合的に小児・AYAがん患者に対して高度な診療と支援を実施し、患者とその家族が安心して適切な診療と支援を受けられる環境を整備するとともに、小児・AYAがんに関するチーム医療に基づいた教育・研究の向上、患者・市民参画の推進、地域の医療機関との連携の充実と発展を目指します。

小児がんは0歳~15歳までに発症したがん、AYAがんはAYA(Adolescents and Young adults=16~39歳)世代に発症したがんを指します。それぞれの世代に特有の腫瘍が存在し、その診療については小児科、血液・腫瘍内科をはじめ外科系を含めて多岐にわたる診療科で対応しています。
 小児がん全体の予後は近年著しく改善し、概ね8割程度の患者さんで長期生存が可能になりました。一方、小児期に化学療法や放射線治療などを受けた影響からさまざまな合併症が発症するリスクが高く、小児がんの治癒後も長期的なフォローが必要であり、年齢に応じた適切な医療を受けるためには、小児診療科から成人診療科へシームレスにつなげる「移行期医療」が重要になります。また、小児からAYA世代においては子どもが親から独立し、生活の中心が家庭・学校から社会へと移行する大きな転換期を迎えます。このような時期にがんと診断されることで心身にさまざまな影響を受けます。高年齢の世代に生じるがんと比較して腫瘍の頻度が低いため、情報が少ない、他患者との交流が持てないなど、さまざまな側面で小児・AYAがん特有の問題が存在しています。

 岡山大学病院ではこれまで、小児がんは小児科および小児外科、AYA世代がんは成人のがん診療科が担当し、診療科横断的な枠組みとして「腫瘍センター」ががん医療全体を統括し、「緩和ケアセンター」が緩和医療を、「リプロダクションセンター」ががん生殖医療を担い、小児・AYA世代のがん患者に対して支援体制を築いてきました。しかし、小児から成人への移行期医療や、高校生の長期入院患者の教育・就職支援などの課題解決については、各科の努力に依存しているのが実状でした。
 このような小児・AYA世代のがん患者特有の課題に対する支援を「小児・AYAがん総合センター」の開設により一元化し、診療科等の枠を超えてワンストップで提供することで、さらなるがん診療の充実を図ることを目指します。同センターは小児科、小児・血液腫瘍科などの主診療科を中心に協力診療科等とも連携して、医師、歯科医師、看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、認定遺伝カウンセラー、臨床心理士、公認心理師、管理栄養士、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等によるチーム医療を展開し、その他、必要とする院内および外部機等からの協力も得て対応してまいります。

【「小児・AYAがん総合センター」運営体制】
《主要診療科》小児科、小児・血液腫瘍科、小児外科、血液・腫瘍内科、消化器内科、
呼吸器・アレルギー内科、消化管外科、肝・胆・膵外科、呼吸器外科、乳腺・内分泌外科、泌尿器科、整形外科、耳鼻咽喉・頭頸部外科、脳神経外科、産科婦人科、臨床遺伝子診療科


《協力診療科等》麻酔科蘇生科、救命救急科、放射線科、病理診断科、緩和支持医療科、精神科神経科、形成外科、小児心身医療科、小児歯科、歯科、口腔外科、医療支援歯科治療部、スペシャルニーズ歯科センター


<発表内容について>
岡山大学病院に「小児・AYAがん総合センター」を新設


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)小児医科学
教授  塚原 宏一
(電話番号)086-235-7249 
(FAX番号)086-221-4745

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