国立大学法人 岡山大学

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むし歯菌の表面タンパクが指定難病・IgA腎症発症に関与する可能性が明らかに!~医科歯科連携で根本治療法の確立を目指す~

2024年10月22日

岡山大学
大阪大学
聖隷浜松病院
兵庫医科大学
広島大学

◆発表のポイント

  • これまでに、指定難病の1つであるIgA 腎症の発症メカニズムの詳細は明らかになっていませんでした。
  • むし歯菌の表面に存在するタンパク質の1つであるコラーゲン結合タンパクが、IgA腎症発症に関連している可能性が示されました。
  • 今後、医科歯科連携による研究を発展させることで、IgA 腎症の根本治療法の開発につながる可能性があると考えられます。

 岡山大学学術研究院医歯薬学域(歯)小児歯科学の仲野道代教授、同・仲 周平准教授、大阪大学大学院歯学研究科小児歯科学講座の仲野和彦教授、聖隷浜松病院腎臓内科の三﨑太郎部長、兵庫医科大学総合診療内科学の長澤康行准教授、広島大学大学院医系科学研究科小児歯科学の野村良太教授らの共同研究グループは、指定難病の1つで原因が不明とされ根本治療法が確立されていない IgA 腎症に関して、動物モデルを用いた研究において、むし歯菌(ミュータンスレンサ球菌)が表面に出しているタンパク質の1つが、その発症メカニズムに関与している可能性を明らかにしました。
 IgA腎症は、我が国の疫学調査からは、子どもから大人まで幅広い年齢層にわたり約33,000人の患者さんがいると推計され、根本治療法がない病気の1つとされてきましたが、今回発症メカニズムの一端が明らかになったことで、根本治療法の確立につながることが期待されます。
 本研究の成果は9月14日、英国科学誌「Communications Biology」に掲載されました。

◆研究者からひとこと

 これまでは、口の細菌は歯科領域で、腎臓疾患は医科領域で別々に研究が進められてきました。私たちは、この2つの領域の臨床家と研究者がコラボレーション体制を構築し約10年の研究期間を経て、有益な研究成果を得ることができました。今後さらにこのプロジェクトを進めて、臨床現場に届けることのできる成果を得ることを目指します。
仲 周平准教授
 今回の成果を踏まえて、むし歯菌の表層タンパクを標的にした本研究を継続することによって、実際に患者さんの病気の改善につながる新たな成果を得ることができると考えています。また、これまでに発症メカニズムがよく分かっていない病気において、口の細菌が引き起こす影響を想定した新たな研究プロジェクトを立ち上げていきます。
仲野 道代教授

■論文情報
論 文 名:Contribution of collagen-binding protein Cnm of Streptococcus mutans to induced IgA nephropathy-like nephritis in rats
掲 載 紙:Communications Biology
著  者:Shuhei Naka, Daiki Matsuoka, Taro Misaki, Yasuyuki Nagasawa, Seigo Ito, Ryota Nomura, Kazuhiko Nakano, Michiyo Matsumoto-Nakano
D O I:10.1038/s42003-024-06826-x
U R L:https://doi.org/10.1038/s42003-024-06826-x

■研究資金
 本研究は、独立行政法人日本学術振興会 (JSPS) 「科学研究費助成事業」(基盤C・23K09435, 研究代表:仲 周平)(基盤B・23K27805, 研究代表:仲野道代)(基盤B・24K02650, 研究代表:仲野和彦)(基盤C・23K09146, 研究代表:三﨑太郎)の支援を受けて実施しました。

<詳しい研究内容について>
むし歯菌の表面タンパクが指定難病・IgA腎症発症に関与する可能性が明らかに!~医科歯科連携で根本治療法の確立を目指す~


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域(歯)小児歯科学
准教授 仲 周平
(電話番号)086-236-6716
(FAX)086-235-6719

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