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超巨大噴火の鍵はマグマの浮力

 岡山大学地球物質科学研究センターの中村栄三教授の研究グループは、スイス連邦工科大学チューリッヒ校やクロード・ベルナール・リヨン第1大学などの研究グループと共同で、マグマ溜まりのある地下深部に相当する高温高圧条件下で実験的に作り出したマグマの密度と化学組成を測定し、それらの相互関係を解析しました。その結果、大規模な爆発的噴火を引き起こす酸性火成岩マグマは、一般的な大陸地殻構成岩石よりも密度が小さいため、ある程度以上の量が溜まれば、その浮力だけでもマグマ溜まりの天井を破壊して地表へ向かって上昇し、巨大カルデラを伴う大噴火を起こし得ることがわかりました。 
 本研究成果は2014年1月6日、国際科学雑誌『Nature Geoscience』電子版で公開されました(イギリス・ロンドン時間:5日18:00)。
 マグマの密度と化学組成との相互関係を明らかにした今回の研究成果は、火山岩の化学組成から、噴出前のマグマ溜まりのサイズを推定出来るだけでなく、地震波探査などから推定されるマグマ溜まりのサイズやマグマの密度から、噴火可能性の評価や噴火様式の推定ができることを示しており、噴火予知や火山災害対策に対する寄与が期待されます。
<業 績>
 岡山大学地球物質科学研究センター分析化学部門の中村栄三教授の研究グループ、スイス連邦工科大学チューリッヒ校地球化学研究所、パウル・シェラー研究所(スイス)、クロード・ベルナール・リヨン第1大学地質学研究所、放射光施設ESRF(フランス)などの研究者からなる国際共同研究グループは、マグマ溜まりのある地下深部に相当する高温高圧条件下で実験的に作り出したマグマの密度と化学組成(含水量や主要・微量元素濃度)を測定し、それらの相互関係を解析しました。その結果、マグマの化学組成とその密度の関係を表す状態方程式の定式化に成功しました。それによると、巨大カルデラ噴火によってもたらされた火山噴出物のような酸性火成岩マグマは、一般的な大陸地殻構成岩石よりも密度が小さいため、ある程度以上の量が溜まれば、その浮力だけでもマグマ溜まりの天井を破壊して地表へ向かって上昇し、爆発的な巨大噴火を起こし得ることがわかりました。 
 従来までの研究によって、マグマの密度はマグマ溜まり周辺の岩盤を構成する岩石よりも小さいため、マグマの浮力が火山噴火を起こすきっかけになりうることが指摘されていましたが、マグマと周辺の岩盤の密度差がどの程度あれば、噴火に至る浮力を獲得できるのかは不明でした。今回の研究成果は、マグマの化学組成と密度の関係を精度よく決定できたことから、火山噴火の機構を具体的な数値をもって議論することを可能にしました。

<見込まれる成果>
 マグマの密度と化学組成との相互関係を明らかにした今回の研究成果は、火山岩の化学組成から、噴出前のマグマ溜まりのサイズや噴火の様式・規模を推定出来るだけでなく、現世の活火山周辺で行われている地震波探査などから推定されるマグマ溜まりのサイズやマグマの密度から、噴火可能性の評価や噴火様式の推定ができることを示しています。今後のさらなる研究の進展や、地下構造探査の精度向上によって、噴火予知や火山災害対策に対する寄与が期待されます。

発表論文はこちらからご確認いただけます
Supervolcano eruptions driven by melt buoyancy in large silicic magma chambers.
Wim J. Malfait, Rita Seifert, Sylvain Petitgirard, Jean-Philippe Perrillat, Mohamed Mezouar, Tsutomu Ota, Eizo Nakamura, Philippe Lerch, and Carmen Sanchez-Valle.
Accepted manuscript online: 5 JAN 2014 18:00 London time | DOI: 10.1038/ngeo2042

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<お問い合わせ>
(所属)岡山大学地球物質科学研究センター
    分析地球化学部門
    教授 中村栄三
(電話番号)0858-43-3745
(FAX番号)0858-43-3745
(URL) http://www.misasa.okayama-u.ac.jp/