◆発表のポイント
- 心臓に触れることなく、命に関わる不整脈から患者を守る新しいデバイスによる治療が保険適用になりました。
- 岡山大学病院で、保険適用後最初の手術が2例行われました。
- 従来の植込み型除細動器(ICD)より合併症のリスクが少なく、本体は小さいのにバッテリーは10年以上と長いので、若年層の患者にも有用です。
不整脈による突然死を防ぐ新型の医療機器「血管外植込み型除細動器(EV-ICD)」を用いた治療が3月1日から保険適用になり、岡山大学病院を含む国内3つの医療機関で3月3日に最初の植え込み手術が行われ、岡山大学病院でも2人の患者さんに実施しました。
心臓の頻脈性不整脈の治療には、従来から、リード(導線)を、血管を通して心臓内に固定する経静脈的「植込み型除細動器(ICD)」が使用されてきましたが、体内への留置年数が長期間になると、リードの断線や血管閉塞、感染などのトラブルが発生するリスクが問題になっていました。今回保険適用になったEV-ICDは、リードが心臓の近くで血管の外側に留置されるため不整脈を感知しやすく、血流感染などのリスクも低減されます。
また本体が小型化されバッテリーの耐用年数も10年以上に延びたため、患者さんのQOL(生活の質)低下を防ぐことができ、今後は不整脈治療の選択肢の一つとして、多くの患者さんに役立つことが期待されます。
◆研究者からひとこと
岡山大学では、治験として2023年3月に日本で初めて EV-ICD の植え込み手術を実施しました。このたびの保険適用後、3月6日現在で8人の患者さんに EV-ICD が植え込まれており、みなさん順調に経過しています。 新しい機器は痛みが少なく、耐用年数が10年以上と長くなったので、治療後の患者さんの心身の負担を軽減できることがメリットです。 | ![]() 西井准教授 |
<詳しい研究内容について>
血管外植込み型除細動器(EV-ICD)を用いた不整脈治療が保険適用に岡山大学病院で保険適用後の国内最初の手術を2例実施
<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)先端循環器治療学
准教授 西井 伸洋
(電話番号)086-235-7349