◆発表のポイント
- iPS細胞から軟骨組織を玉や板など多様な形状で作製することに成功しました。
- 作製した軟骨組織を膝関節軟骨損傷したミニブタに移植し、生着と機能を確認しました。
- 将来の関節疾患への治療薬開発や再生医療の応用が期待されます。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の棏平将太大学院生(研究当時。現 東京科学大学 医歯学総合研究科 システム発生・再生医学分野 特任助教)、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)組織機能修復学の寳田剛志教授、髙尾知佳講師、大嶽茂雄助教、同学域整形外科学の尾﨑敏文教授、同学域運動器リハビリテーション医学講座の中田英二准教授(特任)らの研究グループは、ヒトiPS細胞からさまざまな形態の軟骨組織体を作製し、ミニブタ膝関節軟骨欠損モデルへの移植に成功しました。
研究成果は、国際科学誌「npj Regenerative Medicine」にResearch Articleとして掲載されました。
今回私たちは、iPS細胞から軟骨組織を玉や板など多様な形状で作製し、膝関節軟骨損傷したミニブタへ移植することに成功しました。
iPS細胞由来の軟骨組織を異種移植し生着や機能維持の成功を確認ができたことで、安全性や有効性の評価が進み、将来的なヒトへの応用や関節疾患の再生医療への道が開かれた点で重要と考えます。
◆研究者からひとこと
軟骨組織は自己修復能に乏しい組織として知られており、損傷部の有効な治療法に欠けているのが現状です。軟骨組織の再生や、治療薬開発を目指し、これまで研究を行ってきました。 この研究が少しでも患者さんの治療につながるものになればと期待しています。 | ![]() 棏平大学院生(研究当時) |
■論文情報
掲 載 紙:npj Regenerative Medicine
D O I:10.1038/s41536-025-00420-3
■研究資金
本研究は、科学研究費補助金の支援を受けて実施しました(基盤研究C(22K09356, 23K08590, 22K09401)、AMED(JP22ym0126078)、創発的研究支援事業(JPMJFR225H)、テルモ生命科学振興財団、第一三共(TaNeDS)
■関連出願特許
名 称:
LBM、 CPC、 OPC、それらの調製方法及び品質管理方法、キット、移植材料並びに疾患モデル
出願番号:PCT/JP2020/035517
出 願 日:2020年09月18 日
出 願 人:国立大学法人岡山大学、国立大学法人京都大学
名 称:形状型軟骨組織体の調製方法
出願番号:特願2021-145753
出 願 日:2021年09月07 日
出 願 人:国立大学法人岡山大学
<詳しい研究内容について>
ヒトiPS細胞からさまざまな形態の軟骨組織体を作製し、ミニブタ膝関節軟骨欠損モデルへの移植に成功
<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)
組織機能修復学分野 教授 宝田剛志
(電話番号) 086-235-7407