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舌表面の汚れはアセトアルデヒドの発生源

 本学大学院医歯薬学総合研究科(歯)予防歯科学分野の森田学教授、横井彩(医員)の研究グループが、「舌表面の汚れ(舌苔)の付着面積が大きい人は、呼気中のアセトアルデヒド1)濃度が高い」ことを、横断研究2)で初めて突き止めました。本研究成果は2015年3月6日に「Journal of Applied Oral Science」電子版で公開されました。
 口の中のアセトアルデヒドは、口や喉の癌の原因となることが言われています。舌苔と癌との関連を結びつける可能性が示唆されました。
<業 績>
 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)予防歯科学分野の森田学教授、横井彩(医員)の研究グループは、同大医療支援歯科治療部と北海道大学山崎裕教授と共同で、舌の上に白い苔のように付着している汚れ(舌苔)の面積と、口の中のアセトアルデヒド濃度(呼気中の気体の濃度)を健常者65人(男性51人、女性14人)で調査。舌苔の付着面積が大きい人は、付着面積が小さい人に比べ、口の中のアセトアルデヒド濃度が高くなることを明らかにしました(図)。



 理由として、舌苔に含まれる細菌の違いがアセトアルデヒド濃度に関与していると考えられます。
 口の中のアセトアルデヒドの発生原因として、煙草やお酒が考えられていました。本研究では、舌苔からもアセトアルデヒドが発生していることを確認。舌苔を取り除く舌清掃を行うと、口の中のアセトアルデヒド濃度が減少することも確認しました。

<見込まれる成果>
 口の中のアセトアルデヒドは、口や喉の癌の原因になることが指摘されています。舌苔と癌の発病との関係や、舌苔の中のどの細菌がアセトアルデヒドを産生しているのかなど、更なる研究を重ねることにより、舌清掃で癌を予防することが証明できるかもしれません。

 本研究は日本学術振興会(JSPS)科研費補助金「基盤(C)」の助成を受け実施しました。

<補 足>
 舌苔とは、「舌上に生ずる白色~汚穢褐色のリンパ球、上皮細胞、食物残渣などによりなる苔」(南山堂医学大辞典より引用)です。口の中にいる細菌の温床となり、口臭の原因となることが知られています。薬店では、舌苔を除去するセルフケア商品も多く販売されています。
 H25年度人口動態調査(厚生労働省)によると、口唇,口腔及び咽頭の悪性新生物による死亡率は人口10万あたり5.7人である。
 世界保健機構は、アセトアルデヒドが6.1-36.1 ppbの生理的濃度であっても、長期間の暴露は癌のリスクがあるとしている。

<語句説明>
1) アセトアルデヒド:アルコールを代謝する過程で産生され、煙草の煙にも含まれるだけでなく、口の中の細菌がアルコールや、グルコースを代謝して産生することが報告されています。高濃度で摂取する場合、発癌性が指摘されている物資です。生理的な濃度(低濃度)でも、持続的な暴露は有害と考えられています。
2) 横断研究:横断研究とは、ある一時点においての観察を行うもの。



<論文情報>
発表論文:Relationship between acetaldehyde concentration in mouth air and tongue coating volume. Yokoi A, Maruyama T, Yamanaka R, Ekuni D, Tomofuji T, Kashiwazaki H, Yamazaki Y, Morita M. Journal of Applied Oral Science. 2015;23(1):64-70.

発表論文はこちらからご確認いただけます。

報道発表資料はこちらをご覧ください


<お問い合わせ先>
  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)
予防歯科学分野 教授 森田 学
(電話番号)086-235-6712
(FAX番号)056-235-6714
(URL)http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~preventive_dentistry/top.html