プレスリリース

ホーム > プレスリリース > “一石二鳥”の抗菌作用を持つ物質を発見

“一石二鳥”の抗菌作用を持つ物質を発見

 本学大学院医歯薬学総合研究科(薬)の黒田照夫准教授らのグループが、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)に対して強い抗菌活性を示す物質をスイレン科コウホネの成分中で発見。その作用機構を解明しました。本研究成果は、2月27日欧州の専門誌『Biochimica et Biophysica Acta -General Subjects』で公開されました。
 本物質は、単独で作用させても抗菌活性を示すだけでなく、既存抗菌薬の抗菌活性を著しく増強させる能力を持っています。抗菌活性を強化することで、耐性菌の出現により使用できなくなってしまった抗菌薬を復活させることが期待されます。さらに、既存抗菌薬の投与量を抑えることで、更なる耐性菌が出現するリスクを下げることにつながります。
<業 績>
 本学大学院医歯薬学総合研究科黒田照夫准教授、波多野力教授、立命館大学薬学部土屋友房教授(岡山大学名誉教授)の研究グループは、スイレン科コウホネの成分である6, 6’-dihydroxythiobinupharidine(DTBN)が、多剤耐性菌として知られているMRSAとVREに対して強い抗菌活性を示すことを見出しました。さらに、この物質がDNAの複製に必要な酵素であるDNAトポイソメラーゼIV*1を阻害することで抗菌活性を示すことを突き止めました。
 DTBNは単独で作用させても抗菌活性を示します。MRSAに対しては、治療薬であるアルベカシンとDTBNを併用するとその効果を増強させることを確認しました。
 バンコマイシンに耐性を示すVREに対しては、DTBNを作用させると256μg/mL以上であった最小生育阻止濃度*2が1 μg/mLまで低くなり、バンコマイシンの作用が増強されることを確認しました。バンコマイシンに耐性となっていない腸球菌には効果はありませんでした。

<見込まれる成果>
 スイレン科コウホネの成分であるDTBNは、既存抗菌薬の抗菌活性を著しく増強させることができるため、より低濃度で抗菌活性を得ることができます。さらに、耐性菌の出現により使用できなくなってしまった抗菌薬の効果を高めることも可能です。DTBNは、抗菌薬を復活させ、既存抗菌薬の投与量を抑えることで、更なる耐性菌が出現するリスクを下げることにつながります。
 また、耐性となった腸球菌のみに効果を高めることができるため、治療が困難となる厄介な耐性菌だけを狙い撃つような治療方法の開発も大いに期待されます。
本研究は、文部科学省概算要求事業「難治性感染症を標的とした創薬研究教育推進事業」研究の一環として実施しています。
これらの成果の一部については、平成27年3月26日に日本薬学会第135年会で発表しました。また本件については、日本国特許出願をすでに行っています(特願2014-256974, 特開2014-148495)。

*1 DNAトポイソメラーゼIV
二重らせん構造をとっているDNAのねじれ具合を適切に調節する酵素。DNAを複製する際に必要であり、細菌にとって不可欠な酵素である。この酵素を阻害されると細菌は生きていけない。この酵素を阻害する抗菌薬が医薬品として使用されている。

*2 最小生育阻止濃度
対象となる細菌の増殖を阻止できる最低の濃度。低いほど抗菌活性は強いといえる。

報道発表資料はこちらをご覧ください


<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
微生物医薬品開発学分野 准教授 黒田 照夫
(電話番号)086-251-7958
(FAX番号)086-251-7958