国立大学法人 岡山大学

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血液透析用カテーテルの留置位置事前設置器具を開発 早期実用化を目指し、臨床研究を開始

2015年04月23日

 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)の大原利章助教と重井医学研究所附属病院の櫻間教文医師は共同で、血液透析用カテーテルの留置位置事前設定器具を開発。特定非営利活動法人メディカルテクノおかやま(佐藤寿昭コーディネーター)を通じ、有限会社ケイ・テクノ社(唐井利昌社長)と共同研究を行い、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を加工することで再滅菌可能な製品のプロトタイプを作成しました(図1)。
 実際の医療現場での安全性および有効性を検討するために、4月1日、重井医学研究所附属病院ダイアライシスアクセスセンターでの臨床研究を開始しました。
<背 景>
 血液透析の分野では、人口の高齢化に伴い、カテーテルを用いた透析のニーズが高まっています。このため、「カフ型カテーテル」の留置が行われますが、正確なカテーテルの留置には医師の高度な専門的知識と技術が必要です。血液透析用カフ型カテーテル留置を行う際には、留置させる部位を正確に定める必要があるため、体内の留置時には透視装置など医療機器を使用し、放射線透視下に位置を確認することが一般的です。しかし、体内留置前に体外からカテーテル留置位置設定は通常行われておらず、患者の体格や血管の屈曲の個体差はあるものの、多くは医師の経験に頼り行われているのが実情です。
 内頚静脈から留置するカフ型カテーテルが正確な位置に留置できなかった場合は、脱血部位が浅い腕頭静脈に留置されてしまうと脱血不良を生じます。また、カテーテルの屈曲や出口部が不適切な位置に造設されてしまうと脱送血不良を引き起こします。これらは血栓形成の原因となり、死亡事故を引き起こす恐れがあります。また再留置した場合にも、留置は放射線透視下に行われるため患者の被爆が増え、1本4~5万円程度のカテーテル廃棄に伴う医療費の無駄も発生します。


<見込まれる成果>
 カテーテルを用いた血液透析は、人口の高齢化に伴って今後も増加が見込まれており、海外では全血液透析の20%以上をカテーテルによる透析が占める国もあり、海外での需要も非常に期待されます。
 岡山県では産官学連携による企業の医療分野への新規参入を促し、医療産業クラスターの形成の事例としても注目されています。安全・安心な医療器具の開発、より早期の実用化による患者や社会への貢献を目指します。
 本学は、文部科学省が「研究大学強化促進事業」の支援対象大学であり、世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」を目指し、積極的な研究推進・研究力向上を実施しています。また、本研究は文部科学省の「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」の研究支援拠点である本学・本学病院をコアとした生命科学分野の基礎研究成果を実際の医療に活用するための橋渡し研究(トランスレーショナル・リサーチ)の取り組みとしても期待されます。

<補 足>
1)出願特許
名  称 カテーテルの留置位置の事前確認具
出願番号 特願2013-226369号
出願日 平成25年10月31日
出願人 国立大学法人岡山大学
発明者 大原利章助教、櫻間教文医師

2)本事業は岡山大学の平成26年度研究推進産学官連携機構プレ共同研究支援事業の支援を受けて行われています。

報道発表資料はこちらをご覧ください


<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)
免疫病理学分野 助教 大原 利章
(電話番号)086-235-7143
(FAX番号)086-235-7648
(URL)//www.okayama-u.ac.jp/user/byouri/pathology-1/HOME.html

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