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片頭痛:心臓の穴を閉じて頭痛を治す国内初の治療を開始

 岡山大学病院循環器疾患集中治療部の赤木禎治准教授らのグループは、片頭痛患者に心臓の微小な穴(卵円孔)の開存が認められた場合、カテーテルを用いて卵円孔を閉鎖することで頭痛を治療するという国内初の治療を6月に開始します。
 本治療によって頭痛そのものが消失するなど、薬物治療とは別の新しい治療技術になる可能性があります。同様の臨床治験が欧米でも進んでおり、本院では将来の先進医療獲得を視野に入れ、この治療を実施したいと考えています。
<概要>
 本学病院循環器疾患集中治療部では、循環器内科、神経内科、心臓血管外科と共同して、平成24年から奇異性脳梗塞の再発予防を目的とした心房中隔欠損症や卵円孔開存のカテーテル治療を実施しています。これらの脳梗塞患者を調べたところ、38人中19人が片頭痛を経験しており、カテーテル治療後に片頭痛が消失(13人)、もしくは著明に改善(5人)していることが分かりました。
 現在、カテーテル治療の対象は脳梗塞を発症した患者の再発予防だけに限定されています。赤木准教授らのグループは今回、国内で初めて、脳梗塞の発症に関わらず、片頭痛で困っている方に卵円孔が認められた場合、卵円孔のカテーテル治療を実施します。

<背景>
 卵円孔は胎児期に胎盤からの酸素を含んだ血液を右心房から左心房を経て全身へと導く重要な構造です。卵円孔は出生後には自然に閉鎖しますが、成人に達しても閉鎖しない場合がしばしばみられ、健常成人の15~25%に存在します。通常、卵円孔は何ら問題はありませんが、静脈にできた血栓が卵円孔を通過することで脳梗塞の原因になることが知られています。
 片頭痛との関連は静脈内の特殊な物質が肺を通過せずに脳動脈に達することではないかと推測されています。片頭痛を持つ患者は一般健常者と比べて、脳梗塞を約2倍起こしやすいといわれ、前兆(キラキラした光が見える、眼前暗黒感、感覚異常など)のある片頭痛患者では、そのリスクがさらに高まるという報告もあります。このような前兆を持つ片頭痛の患者では卵円孔が開存している可能性があります。

<見込まれる成果>
 片頭痛にはさまざまな薬物療法、非薬物療法がおこなわれていますが、これらの治療の効果が不十分で、日常生活に支障を来している患者は少なくありません。また片頭痛の原因は多岐に渡っており、本治療がすべての人に効果を表すものではありません。ただし、片頭痛の原因が卵円孔開存と関連が深いと判断される場合には、本治療によって頭痛そのものが消失するなど、薬物治療とは別の新しい治療技術になる可能性があります。欧米でも同様の臨床治験が進んでおり、当院では将来の先進医療獲得を視野に入れ、この治療を実施したいと考えています。
 一方、この治療手技は国内では脳梗塞を一度起こした場合のみ保険診療の対象となっており、実際の治療には国内未承認の卵円孔開存専用の閉鎖栓を使用しますので、自由診療として行われ、費用は約130万円となります。

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<お問い合わせ先>
岡山大学病院循環器疾患集中治療部
准教授 赤木 禎治(あかぎていじ)
(電話番号)086-235-7357