国立大学法人 岡山大学

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ヤマブドウ果汁でマウス皮膚発癌予防

2013年05月29日

 岡山県真庭市蒜山産のヤマブドウ果汁の部分精製濃縮ジュースの飲用でマウスの皮膚発がんが抑制されることを見出しました。また、ヤマブドウ果汁の外用塗布でも皮膚発がんが抑制されました。抗発がん機構の一つは発がんや炎症の進展に関与するシクロオキシゲナーゼ2酵素(COX-2)をヤマブドウ果汁が抑制することによる抗炎症効果と分かりました。有効成分としてポリフェノールの一種、カフタル酸を単離同定しました。成果は3月31日にNutrition and Cancer誌(Taylor & Francisグループ、Routledge社、英国、2011のImpact Factor: 2.783)に掲載されました。ヤマブドウは岡山県産の機能性食品として発展が期待されます。
 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の有元佐賀惠准教授(医薬品安全性学)は、マウス28匹に癌誘発物質と発がん促進物質を塗布する実験で、半数の14匹にはヤマブドウ果汁を部分精製して糖分などを除いた濃縮ジュースを飲用させ,20週間にわたり経過を観察しました。水道水を飲用させた群では11週までに全匹に皮膚がんが発生しました。しかし、ヤマブドウジュースを飲用した群では20週たっても9匹に皮膚がんを発症せず、有意に抑制効果が見られました(添付のグラフ参照)。 また、飲用させる代わりに、ヤマブドウ果汁(無処理)を外用塗布した場合でも、塗布しなかったマウス群と比べて、有意に皮膚発癌が抑制されました。
 ヤマブドウを選んだ理由は、短期試験の抗変異原性試験で、ヤマブドウ果汁が比較したブドウなどの果汁より強い抑制活性を示したことです(添付のグラフ参照)。
 発がん抑制機構を調べるために、慢性的な炎症から発がんへ進展する点に着目しました。マウス20匹の耳に炎症を引き起こす物質(ホルボールエステル)を塗布する実験で、ヤマブドウ果汁の濃縮ジュースを飲用させたマウス12匹では耳の炎症による腫れが軽く、水道水を飲ませた群と比べて有意に炎症が抑制されました。さらに、炎症を起こした耳の組織の、発がんや炎症の進展に関与するシクロオキシゲナーゼ2酵素(COX-2)の活性を調べたところ、ヤマブドウ果汁の濃縮ジュースを飲用させたマウス群ではCOX-2活性が有意に低く、COX-2の選択的抑制が抗炎症ひいては抗発がん効果に関与していると考えられます。
 ヤマブドウ果汁の有効成分の単離研究を行ったところ,ポリフェノールの一種、カフタル酸を単離同定しました。カフタル酸に抗炎症作用のあることも見出しました。
 蒜山産のヤマブドウ果実は果汁がジュースやワインなどの飲用のほか、ジャムやソースなどにも加工されています。岡山県産の機能性食品としての発展が期待されます。
 研究成果はNutrition and Cancer誌(Taylor & Francisグループ、Routledge社、英国、 2011の Impact Factor: 2.783)に2013年3月31日に掲載されました。
http://www.tandfonline.com/eprint/jfuyEjNDDnYtsbvJfIYH/full



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<お問い合わせ先>
 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)准教授
有元佐賀惠
(電話番号)086-251-7947
(FAX番号)086-251-7947

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