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結核ワクチンBCGの遺伝的安定性を実証

岡山大学
長崎大学

 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)口腔微生物学分野の大原直也教授、長崎大学熱帯医学研究所国際保健学分野の和田崇之助教、京都大学、神戸市環境保健研究所、結核研究所、日本ビーシージー製造株式会社の共同研究グループは、結核に対するBCGワクチン計7ロットのゲノム解析を実施。培養による新たな変異の混在が少なく、安定性が良いことを確認しました。本研究成果は12月4日、英国のオンライン科学雑誌「Scientific Reports」に掲載されました。
 結核に対するBCGワクチンは、生菌ワクチンで、長年継代培養され、また市販ロットを作製する際にも継代培養されます。これまで、変異を生じた菌が多く含まれる懸念がありましたが、日本のBCGワクチンの中に変異を持った菌がどれだけ存在するかはわかっていませんでした。本研究成果は日本のBCGワクチンが安定であることを示し、安全性の担保につながるものです。
<業 績>
 岡山大学、長崎大学らの共同研究グループは、結核に対するワクチンであるBCGワクチンの新旧シードロット2種類、それらから継代培養・製造された市販ロット3種類、日本のシードロットに由来する海外の市販ロット2種類の計7ロットのそれぞれに含まれる全遺伝情報を解析。大きな変異として7種類の点変異が検出されましたが、これらは新規の変異ではないことが明らかになりました。
 本解析により、日本のシードロットとそれに由来する国内外の市販ロットがいずれも新規変異の混在が少なく、安定性が良いことが確認されました。また今回用いた遺伝情報の解析手法が極めて精度の良い方法であることが検証されました。

<背 景>
 BCGワクチンは、人類に対して最も数多く接種されたワクチンです。1921年にフランス・パスツール研究所のCalmette博士とGuérin博士が、ウシ型結核菌の培養を繰り返すことにより弱毒化して作製。日本には1924年に志賀潔博士によって持ち込まれ、その後1961年に最初のシードロット(実際に接種する市販ロットの種となるもの)が作製されました。現在は2代目のシードロットが使用されています。BCGワクチンは長年の継代培養の繰り返しによる作製で、変異を生じた菌が含まれるという懸念が持たれています。実際、各国のBCGワクチンには異なる部分(変異)があること、日本のBCGワクチンには少なくとも2種類のタイプが存在することが知られています。本研究グループは、BCGワクチンの安全性を担保するためには、日本のBCGワクチンの中に変異を持った菌がどれだけ存在するかを明らかにする必要があると考え、全遺伝情報の解析を実施しました。

図 今回解析に用いたロット


<原論文情報>論  文  Deep sequencing analysis of the heterogeneity of seed and commercial lots of the bacillus Calmette-Guérin (BCG) tuberculosis vaccine substrain Tokyo-172.著  者  Wada T, Maruyama F, Iwamoto T, Maeda S, Yamamoto T, Nakagawa I, Yamamoto S, Ohara N.掲 載 誌  Scientific ReportsD O I  10.1038/srep17827


<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)
口腔微生物学分野 教授 大原 直也
(電話番号)086-235-6655

長崎大学熱帯医学研究所
国際保健学分野 助教 和田 崇之