国立大学法人 岡山大学

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新型の超伝導体「トポロジカル超伝導体」を実験的に証明-量子コンピューターへの応用が期待-

2016年05月27日

 岡山大学大学院自然科学研究科(理)の鄭 国慶(テイ コクケイ)教授、俣野 和明(マタノ カズアキ)助教らの共同研究グループは、六角形構造を有する物質CuxBi2Se3の超伝導状態を核磁気共鳴法を用いて測定。CuxBi2Se3がトポロジカル超伝導体という“新型の超伝導体”であることを世界で初めて実験的に証明しました。本研究成果は5月30日、英国の科学雑誌「Nature Physics」のArticleとして電子版に掲載されます。また、本研究成果についての解説記事も印刷体版に掲載される予定です。
 トポロジカル超伝導は従来の超伝導とは違い、表面と内部で異なる超伝導物性を持っています。この特殊な表面状態は次世代のコンピューターとされる量子コンピューターへの応用が期待されています。これまで、トポロジカル超伝導体は理論的に存在が期待されていましたが、実験的に証明することはできていませんでした。
 本研究成果はトポロジカル超伝導だけでなく、超伝導研究全般にも重要な知見を与えるものと期待されます。
<本研究のポイント>
  • トポロジカル超伝導体の存在が理論的に期待されていたが、これまで実験的に証明することはできていなかった
  • 六角形構造を有する物質CuxBi2Se3において、トポロジカル超伝導状態を発見。“新型の超伝導体”を世界で初めて実験的に証明することに成功した。
  • 表面の特殊な超伝導状態を利用することで、量子コンピューターなどの次世代デバイスへの応用が期待される。
左図:トポロジカル超伝導体CuxBi2Se3の結晶構造

<詳しい研究内容について>
新型の超伝導体「トポロジカル超伝導体」を実験的に証明―量子コンピューターへの応用が期待―

<論文情報>
論文名:Spin-Rotation Symmetry Breaking in the Superconducting State of CuxBi2Se3
    「CuxBi2Se3の超伝導状態におけるスピン回転対称性の破れ」
掲載誌:Nature Physics  DOI: 10.1038/NPHYS3781
掲載日:平成28年5月31日(火)午前0時 (ロンドン時間5月30日午後4時)
著 者:俣野和明, Markus Kriener, 瀬川耕司, 安藤陽一, 鄭国慶

発表論文はこちらからご確認いただけます。
http://www.nature.com/nphys/index.html


<お問い合わせ>
岡山大学大学院自然科学研究科(理)
教授 鄭 国慶
助教 俣野 和明
(電話番号)086-251-7821
(FAX番号)086-251-7830