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抜歯後の骨治癒を促進し炎症反応を制御する分子を発見

 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の青柳浩明大学院生、山城圭介助教、高柴正悟教授(歯周病態学分野)と西堀正洋教授(薬理学)の研究グループは、抜歯後の骨治癒に炎症メディエーターであるたんぱく質「HMGB1(High Mobility Group Box 1)」が関与していることを明らかにしました。本研究成果は1月27日、英国の科学雑誌「Journal of Cellular Biochemistry」に掲載されました。
 本研究グループは、抜歯後の周囲組織からHMGB1が分泌されることに着目。その働きを阻害する抗HMGB1抗体をマウスに投与して、抜歯後の治癒への影響を確認しました。その結果、抗体を投与すると、歯肉上皮細胞と周囲の炎症性細胞ではHMGB1の核外への移行が阻害され、抜歯後初期の炎症が抑制されました。その影響によって、抜歯窩での血管や骨の新生が遅延して、抜歯後の骨治癒が遅延しました。これらのことから、抜歯後の骨治癒に必要な炎症反応をHMGB1分子が制御していることが明らかになりました。今後の治療薬への応用が期待されます。

抜歯周囲組織におけるHMGB1の動態
HMGB1は、非抜歯群(健常群)では、歯肉上皮細胞の核内に局在していた(図1B,C)。抜歯後1日目の対照抗体群の抜歯窩組織では、歯肉上皮細胞と炎症性細胞の核内よりも細胞質内さらには細胞外に存在していた(図1E,F,G,H)。しかし、抗HMGB1抗体群の抜歯窩組織では、歯肉上皮細胞と炎症性細胞の核内に局在したままであった(図1J,K,L,M)。

抜歯窩周囲組織における抗HMGB1抗体の抗炎症効果
抜歯窩組織において好中球の殺菌能に関係するミエロペルオキシダーゼ(MPO)の活性を調べて、初期の炎症度を調べた。その結果、抗HMGB1抗体群の値は、対照抗体群と比較して、抜歯後3日目に有意に低かった。しかし、抜歯後1,5,7日目では差がなかった(図2A,B)。すなわち、抗HMGB1抗体の投与によって抜歯後の初期の炎症が抑制されたことが明らかとなった。

抗HMGB1抗体投与が抜歯窩の新生歯槽骨に及ぼす影響
抜歯後7日目に新生歯槽骨の面積を調べた。その結果、抗HMGB1抗体群では、対照抗体群と比較して、新生歯槽骨の面積が有意に少なかった(図3A,B)。

<論文情報等>論文名:HMGB1-induced inflammatory response promotes bone healing in murine tooth extraction socket.掲載誌:Journal of Cellular Biochemistry著者:Hiroaki Aoyagi, Keisuke Yamashiro, Chiaki-Hirata Yoshihara, Hidetaka Ideguchi, Mutsuyo Yamasaki, Mari Kawamura, Tadashi Yamamoto, Shinsuke Kochi, Hidenori Wake, Masahiro Nishibori, Shogo Takashiba
DOI:10.1002/jcb.26710
Homepage:http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jcb.26710/abstract;jsessionid=B4D84E36EC3C504E40127E9574FEAB8B.f03t03

<詳しい研究内容について>
抜歯後の骨治癒を促進し炎症反応を制御する分子を発見

<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
歯周病態学分野
助教 山城 圭介
(電話番号)086-235-6678
(FAX番号)086-235-6679