国立大学法人 岡山大学

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常在菌の有無で歯肉での免疫応答が異なることを発見

2018年07月26日

 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野の福原大樹医員・森田学教授、アメリカ・Department of Microbiology and Immunology, Columbia University Medical Centerの入江浩一郎研究員、インプラント再生補綴学分野の秋山謙太郎講師、朝日大学社会口腔保健学分野の友藤孝明教授らの研究グループは、歯周病の病原因子の一つであるリポポリサッカライド(LPS、歯周病原細菌などがもつ毒素の一種)に対して、常在菌の有無により歯肉での免疫応答が異なることを発見しました。
 常在菌を保有するマウスと比較して、無菌マウスでは、歯肉へLPSを塗布した時に免疫細胞(CD4+T細胞)や炎症に関連する因子(TNF-α)の発現が低下しました。これらの研究成果は5月22日、米国の歯学雑誌「Journal of Periodontology」に掲載されました。
 常在菌は適切な免疫系の成熟に関与します。今回、LPSのような歯周病原因子に対する免疫応答の一端を明らかにしたことで、常在菌が担う新たな役割が明らかになりました。本研究成果は将来の免疫応答の制御による歯周病の予防・治療に貢献することが期待されるとともに、人間と細菌がともに生きることの意味の解明につながるかもしれません。


◆発表のポイント
  • 常在菌の有無により、歯周病の病原因子の一つであるリポポリサッカライド(LPS)に対するマウス歯周組織(歯を支える歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨などの組織)での免疫応答が異なることがわかりました。
  • 常在菌保有マウスと比較し、無菌マウスでは、歯肉へのLPS塗布により、免疫細胞や炎症に関連する因子の発現が低下することがわかりました
  • 免疫応答の観点から歯周病発症のメカニズムの解明および、免疫応答の制御による歯周病の予防・治療に貢献できることが期待されます。
◆研究者からのひとこと
 口は異物が体内に取り込まれる際に最初に反応する器官であるため、高頻度に異物の影響を受けやすい部位といえます。しかし、常在菌が存在することで、口の中の免疫応答を発達させ、健康な状態を維持しているわけです。今回の発見を通じて、生物と共生関係にある常在菌の影響はとても大きいと改めて実感しました。
福原医員


■論文情報
 論 文 名:Impact of commensal flora on periodontal immune response to lipopolysaccharide
 掲 載 紙:Journal of Periodontology
 著  者:Daiki Fukuhara, Koichiro Irie, Yoko Uchida, Kota Kataoka, Kentaro Akiyama, Daisuke Ekuni,
Takaaki Tomofuji, Manabu Morita
 D O I:10.1002/JPER.17-0567

<詳しい研究内容について>
常在菌の有無で歯肉での免疫応答が異なることを発見


<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)
教授 森田 学
(電話番号)086-235-6712
(FAX)086-235-6714

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