歯周病が重度な人は日中や夜間に無意識に歯を咬み合わせていることを発見
2018年07月26日
岡山大学病院咬合(こうごう)・義歯(ぎし)補綴科(ほてつか)(皆木省吾教授)の加藤聖也医員と、予防歯科(森田学教授)の江國大輔准教授らの研究グループは、研究グループの講座で開発した携帯型の長時間記録装置(注1)を用いることで、くいしばりや歯ぎしりといった昼夜の「咬みしめ」が歯周病の重症度と関連していることを発見しました。
これらの研究成果は2018年6月、イギリスの医学雑誌である「Archives of Oral Biology」に掲載されました。
くいしばりや歯ぎしりと歯周病との関係はこれまで明らかになっていませんでした。これは、実際の咬みしめを長時間記録することができなかったからです。今回、研究グループの講座で開発した携帯型の24時間記録装置を用いて歯周病患者の昼夜の咬みしめを記録しました。その結果、日中は目が覚めているにもかかわらず、歯周病が重い人では気づかない間に1時間に平均6分間以上強く咬みしめていることが明らかになり、昼夜の歯ぎしりやくいしばりが歯周病の重症度と関連していることも明らかになりました。
本研究成果は、歯周病を治すための新たな検査や治療方法への応用につながることが期待されます。
◆発表のポイント
- 日中無意識に歯を咬み合わせることが、歯周病の重症度と関係することを発見しました。
- 寝ている時の歯ぎしりの「自覚」は、実際の咬みしめと一致しないことも明らかになりました。
- 携帯型の記録装置を用いて、昼夜の無意識の咬みしめを検査することが大切です。
今までの歯科臨床において疑問に思っていたことを、自分たちの研究で明らかにすることができてうれしく思っています。今回の研究結果が歯周病に悩んでいる患者さんや多くの歯科医療従事者の役に立つことを願っています。 | 加藤聖也 医員 |
■論文情報
論 文 名:Relationship between severity of periodontitis and masseter muscle activity during waking and sleeping hours
掲 載 紙:Archives of Oral Biology
著 者:Seiya Kato、 Daisuke Ekuni、 Shigehisa Kawakami、 Acing Habibie Mude、 Manabu Morita、 Shogo Minagi
D O I:10.1016/j.archoralbio.2018.02.021.
U R L:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0003996918300554?via=ihub
<詳しい研究内容について>
歯周病が重度な人は日中や夜間に無意識に歯を咬み合わせていることを発見
<お問い合わせ>
岡山大学病院 咬合・義歯補綴科
医員 加藤 聖也
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