国立大学法人 岡山大学

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ウォーキング・ブームが少子化を招く?~昆虫からの示唆~

2018年08月02日

 歩くのは健康に良いというのは常識です。ところが、よく歩くメスは、産める子どもの数が減ってしまう生物の例もありました。岡山大学大学院環境生命科学研究科(農)の松村健太郎研究員と宮竹貴久教授は、コクヌストモドキという昆虫を材料として研究を行い、よく歩くという性質を20世代以上も続けて選んで育種繁殖させた結果、よく歩くように進化したメスたちが産んだ卵はサイズが小さく、飢えにも耐え忍べない個体へと進化していることを突き止めました。
 これらの研究成果は、8月1日、欧州の進化生物学雑誌「Journal of Evolutionary Biology」のオンライン版にResearch Article として掲載されました。
 少なくとも昆虫界では、日頃からよく運動するように進化した虫のメスたちは、早く歩くように進化した結果として、異性に出会える確率が上がるわけでもなく、子どもに投資できる配分も少なく、飢えなどのストレスにも弱いというコストを背負って生きていることが、今回の研究によって世界で初めて明らかになりました。


◆発表のポイント
  • 「歩くこと」は健康に良いというのは常識ですが、より歩くように進化させた甲虫のメスは小さい卵を産み、ストレスにも弱くなることが判明しました。
  • ウォーキング・ブームが人口減少に拍車をかける可能性を、昆虫は示唆しているかもしれません。
◆研究者からのひとこと
 昆虫にも個性があります。昆虫は世代期間が短いため、実験的に進化をさせて、個性がどのように進化的に影響を及ぼすのかを予測することが容易です。今回は「歩く」ことの進化的意味について考えてみました。昆虫の行動から推察する社会への示唆を考えるのは面白い実験です。共同研究も大歓迎です。

宮竹 教授


■論文情報
 論 文 名:Costs of walking: differences in reproduction and starvation resistance of females between
strains artificially selected for walking ability of the red flour beetle (Tribolium castaneum).
 掲 載 紙:Journal of Evolutionary Biology
 著  者:Kentarou Matsumura, Takahisa Miyatake
 D O I:https://doi.org/10.1111/jeb.13356
 U R L:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jeb.13356


<詳しい研究内容について>
ウォーキング・ブームが少子化を招く?~昆虫からの示唆~


<お問い合わせ>
岡山大学大学院環境生命科学研究科
教授 宮竹貴久
(電話番号)086-251-8339
(FAX)086-251-8388

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