国立大学法人 岡山大学

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“骨が作る若返り物質”が運動で増える?!

2018年11月30日

◆発表のポイント

  • 骨に含まれる微量タンパク質オステオカルシンは、骨から溶け出して全身に送られ、記憶力、筋力、精力などをアップする若返り物質として働くことが知られています。
  • 骨に力をかけると、新しく骨を作る細胞が増えてくるだけでなく、それらの細胞がオステオカルシンを作るタイミングが早まることが分かりました。
  • 運動によって若さを保つ方法の発見につながることが期待されます。

 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科口腔形態学分野の池亀美華准教授と岡村裕彦教授、朝日大学歯学部の江尻貞一教授は、ネズミの骨に力をかけると、骨を作る細胞が新しくできてくるだけでなく、通常は骨作りの後半で作られるオステオカルシンというタンパク質がもっと早い時期から作られるようになることを明らかにしました。
 本研究成果は4月16日に、米国で50年以上の歴史をもつ細胞組織発生学の国際雑誌「Journal of Histochemistry & Cytochemistry」にオンラインで掲載されました。
 骨は単なる体の支柱ではなく、重要な臓器の一つです。骨から血液中に放出される物質が全身の臓器にさまざまなメッセージを送り、記憶力、筋力、免疫力、男性ホルモン産生、糖代謝などを調節することが明らかになりつつあり、特にオステオカルシンは大切なメッセージ物質であることが分かっています。
 今回の研究成果は、骨に力を加えることで、こうした骨の全身に及ぼす働きにも違いがでてくる可能性を示しています。今後さらに研究が進んで、骨と運動という観点から、私たちが超高齢化時代を健康で若々しく生き抜いていくためのヒントが見つかることが期待されます。

◆研究者からのひとこと

 私は新潟生まれで、この研究の多くの部分はその昔新潟大学で行われたものです。当時は、「力をかけたら骨の細胞がオステオカルシンを作るタイミングが早まった!でも、だから何なの?」という感じで、指導して下さった先生方からも、これだけでは論文にするのは難しいねと言われ、がっかり。結局、この研究データは長い間冬眠していました。
 しかし、時が流れ、骨の新しい働きが見えてきたとたん、このデータが急に意味を持ったものになり、世に出すことができました。いつか春は来るものだ!と思った今年の4月でした。

池亀准教授

■論文情報
 論 文 名:Expression of Noncollagenous Bone Matrix Proteins in Osteoblasts Stimulated by Mechanical Stretching in the Cranial Suture of Neonatal Mice
 掲 載 紙:Journal of Histochemistry & Cytochemistry
 著  者:Mika Ikegame, Sadakazu Ejiri, Hirohiko Okamura
 D O I:https://doi.org/10.1369/0022155418793588

<詳しい研究内容について>
“骨が作る若返り物質”が運動で増える?!



<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)
准教授 池亀 美華
(電話番号)086-235-6631
(FAX)086-235-6634



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