国立大学法人 岡山大学

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プレート内大陸-海洋境界部でのマグマ発生メカニズムを解明:マントルプルームなしのプレート内火山形成モデル

2019年07月09日

◆発表のポイント

  • 世界の主要な火山は、①プレート拡大部(海嶺)、②プレート収束部(海溝)、③プレート内部のマントルプルームが上昇する場、で形成されています。
  • アフリカ大陸西部沖大西洋に分布するプレート内火山の発生が、過去のアフリカ大陸の分裂時に生じた地下構造に原因があることを発見しました。
  • 大陸の分裂によって形成されたプレート内の大陸-海洋境界が、世界の第4の火山形成の場として重要であることを提案しました。

 Belay I.G.博士(岡山大学大学院自然科学研究科博士課程地球惑星物質科学専攻単位取得退学)、田中亮吏教授、北川宙助教、小林桂教授、中村栄三教授の研究チーム(参考:https://pml.misasa.okayama-u.ac.jp)は、過去の大陸分裂によって生じた大陸-海洋境界部における火山形成モデルを提案しました。本研究結果はArticleとして7月9日の英国時間午前10時(日本時間午後6時)、英国国際科学雑誌「Nature Communications 」に掲載されました。
 火山形成の場は、プレート境界部、プレート拡大部、プレート内ホットスポット火山地域に分類されます。ホットスポット火山のうち、ハワイなどの海洋島火山は、外核-マントル境界などから上昇した熱いマントルプルームによって形成されたと考えられています。本研究では、アフリカ西部沖大西洋に分布する、カメルーン火山列、カナリア諸島、カーボベルデ諸島などの海洋島火山が、マントルプルームによって形成されたのではなく、過去にアフリカ大陸と南アメリカ大陸が分裂した際に形成された、アフリカ大陸縁辺部の地下構造に起因した小規模なマントル対流によってできたことを明らかにしました。この結果は、プレート内の大陸-海洋境界が世界の第4の火山形成の場であることを示す重要な成果です。

◆研究者からのひとこと

 本研究成果は、惑星物質研究所で長年にわたって築き上げられた、世界的にもユニークな「地球惑星物質総合解析システム」を駆使することによって導かれました。本システムの開発に携わってきた全ての方々に感謝します。(Belay 博士・田中教授)
Belay 博士・田中教授

■論文情報論文名:Origin of ocean island basalts in the West African passive margin without mantle plume involvement掲載誌:Nature Communications著者:Iyasu Getachew Belay, Ryoji Tanaka, Hiroshi Kitagawa, Katsura Kobayashi, Eizo NakamuraDOI: 10.1038/s41467-019-10832-7URL:  https://www.nature.com/ncomms/

<詳しい研究内容について>
プレート内大陸-海洋境界部でのマグマ発生メカニズムを解明:マントルプルームなしのプレート内火山形成モデル


<お問い合わせ>
岡山大学 惑星物質研究所
教授 田中亮吏
(電話番号)0858-43-3748(直通) (FAX)0858-43-2184

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