国立大学法人 岡山大学

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<ゲノム編集で迅速にコムギの特性を改良>-収穫前の雨で発芽せず良質な小麦生産に向けて-

2019年07月31日

岡 山 大 学
農 研 機 構

◆発表のポイント

  • ゲノム編集を用いて、コムギの特性の改良に国内ではじめて成功しました。
  • オオムギの遺伝子情報でコムギの特性の改良ができることを示しました。
  • 同じ役割をもつ、3つの遺伝子全てを1年あまりで改変できました。

 岡山大学資源植物科学研究所の佐藤和広教授、農研機構(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)の安倍史高主任研究員らの共同研究グループは、コムギの特性の改良にゲノム編集技術を利用することで、収穫時期に雨に濡れても発芽しにくい(休眠が長い)植物体を短期間のうちに開発することに成功しました。複雑なゲノムを持つコムギの特性の改良のため、より単純なゲノムを持つオオムギで発見された遺伝子情報が役立ちました。この手法は、他の植物種の遺伝子情報をもとに、コムギにおいて重複している遺伝子を一度に変えて新たな特性を生み出すための技術として注目されます。本研究成果は7月30日(米国東海岸時間午前11時)、「Cell Reports」電子版に公開されました。
 日本や北欧など収穫期に雨の多い地域では、休眠が短い品種などで、穂についたまま芽の出る穂発芽(ほはつが)が発生しコムギの生産に大きな損害が出ています。
 コムギの中には穂発芽耐性の改良に役立つような遺伝資源は少なく、本研究成果によって、オオムギなど近縁の植物の遺伝子情報を活用した効率的なコムギの品種開発の可能性が示されました。

■論文情報論 文 名:Genome-edited triple recessive mutation alters seed dormancy in wheat
邦文題名「ゲノム編集による三重変異でコムギの種子休眠が変わる」
掲 載 紙:Cell Reports著  者:Fumitaka Abe1, Emdadul Haque1, Hiroshi Hisano2, Tsuyoshi Tanaka1, Yoko Kamiya3, Masafumi Mikami4, Kanako Kawaura3, Masaki Endo4, Kazumitsu Onishi5, Takeshi Hayashi1 and Kazuhiro Sato2所  属1 Institute of Crop Science, NARO, Tsukuba, 305-8518, Japan
農研機構次世代作物開発研究センター
2 Institute of Plant Science and Resources, Okayama University, Kurashiki, 710-0046, Japan
岡山大学資源植物科学研究所
3 Kihara Institute for Biological Research, Yokohama City University, Yokohama, 244-0813 Japan
横浜市立大学木原生物学研究所
4 Institute of Agrobiological Sciences, NARO, Tsukuba, 305-8602, Japan
農研機構生物機能利用研究部門
5 Department of Agro-Environmental Science, Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, Obihiro, 080-8555, Japan
帯広畜産大学環境農学研究部門
U R L:https://cellreports.cell.comD O I:https://doi.org/10.1016/j.celrep.2019.06.090

<詳しい研究内容について>
<ゲノム編集で迅速にコムギの特性を改良>-収穫前の雨で発芽せず良質な小麦生産に向けて-


<お問い合わせ>
研究に関すること
国立大学法人岡山大学 資源植物科学研究所 教授 佐 藤 和 広
(電話番号)086-434-1244
農研機構 次世代作物開発研究センター 主任研究員 安 倍 史 高
(電話番号)029-838-8693

広報に関すること
岡山大学 総務・企画部広報課
(電話番号)086-251-7293
農研機構 次世代作物開発研究センター 広報プランナー
(電話番号)029-838-8942

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