国立大学法人 岡山大学

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SPring-8で地球マントル主要鉱物の高圧相転移を超高精度で決定~地球マントル660km不連続の成因を解明~

2019年10月04日

バイロイト大学
高輝度光科学研究センター
ブリストル大学
ドイツ電子シンクロトロン
北京高圧科学研究センター
東北大学
広島大学
岡山大学



【概要】
 ドイツ連邦共和国バイロイト大学バイエルン地球科学研究所の石井貴之研究員・桂 智男教授、高輝度光科学研究センター回折・散乱推進室の丹下慶範・肥後祐司主幹研究員らとブリストル大学・ドイツ電子シンクロトロン・北京高圧科学研究センター・東北大学・広島大学・岡山大学の国際共同研究チームは、大型放射光施設SPring-8の放射光X線を利用した高温高圧下その場観察実験(BL04B1)と熱化学計算を組み合わせて、上部マントルの主要鉱物リングウッダイトから下部マントル主要構成鉱物のブリッジマナイトとフェロペリクレースへの分解反応(ポストスピネル転移)を精密に決定しました。この相転移は、地球の上部・下部マントルの境界となる660km不連続を引き起こすと考えられてきましたが、これまでの相転移実験では、2km以下であると報告されている660 km不連続の極端な薄さを説明することが出来ませんでした。今回、独自に開発した世界最高精度の高温高圧実験と熱化学計算によりポストスピネル転移の圧力幅が地震学的観測で検出できる厚みよりさらに一桁薄いことを示し、660km不連続がこの相転移で説明できることを明らかにしました。
 本研究成果は、全地球マントルがパイロライト組成であるという説が有力であることを明らかにすると共に、マントル対流の新しい検出方法を提案しています。この手法を用いれば、これまで検出不能であった地球マントルのダイナミクスを明らかすることが出来ます。
 本研究成果は、世界最高の地球科学の学術雑誌、「Nature Geoscience」に9月23日に掲載されました。


■論文情報題  名:Sharp 660-km discontinuity controlled by extremely narrow binary post-spinel transition日本語訳:転移幅の極めて狭い2成分系ポストスピネル転移が引き起こす鋭い660 km不連続著  者:Takayuki Ishii, Rong Huang, Robert Myhill, Hongzhan Fei, Iuliia Koemets, Zhaodong Liu, Fumiya Maeda, Liang Yuan, Lin Wang, Dmitry Druzhbin, Takafumi Yamamoto, Shrikant Bhat, Robert Farla, Takaaki Kawazoe, Noriyoshi Tsujino, Eleonora Kulik, Yuji Higo, Yoshinori Tange, Tomoo Katsura学術雑誌名:Nature Geoscience
<詳しい研究内容について>
SPring-8で地球マントル主要鉱物の高圧相転移を超高精度で決定~地球マントル660km不連続の成因を解明~

<お問い合わせ>
《問い合わせ先》
石井 貴之(イシイ タカユキ)
バイロイト大学 バイエルン地球科学研究所
Bayerisches Geoinstitut (BGI)
Universität Bayreuth
Universitätsstraße 30
D-95447 Bayreuth, Germany

丹下 慶範(タンゲ ヨシノリ)
公益財団法人 高輝度光科学研究センター 放射光利用研究基盤センター 回折・散乱推進室
住所:兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
TEL:0791-58-0802 FAX:0791-58-0830


(報道に関すること)
(SPring-8 / SACLAに関すること)
公益財団法人 高輝度光科学研究センター 利用推進部 普及情報課 
TEL:0791-58-2785 FAX:0791-58-2786

東北大学理学研究科・理学部広報・アウトリーチ支援室
TEL:022-795-6708 FAX:022-795-5831

広島大学 財務・総務室 広報部 広報グループ
TEL:082-424-6781 FAX:082-424-6040

岡山大学 総務・企画部 広報課
TEL:086-251-7292 FAX:086-251-7294

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