国立大学法人 岡山大学

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炎症性腸疾患の新たな炎症抑制の機序を発見

2019年11月22日

◆発表のポイント

  • 炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)は再燃、再発を繰り返す消化管の慢性疾患で、患者数は増加しており、より有効で安全性の高い治療が望まれています。
  • 保険診療で整腸剤として使用されている生薬ベルベリンが、大腸炎動物モデルの腸管粘膜内のリンパ球のエネルギー代謝関連酵素AMPK(注1)を活性化し、炎症を抑制する事を発見しました。
  • 本研究を発展させることにより、炎症性腸疾患の新たな安全性の高い治療薬開発につながる可能性があります。

 岡山大学病院光学医療診療部の高原政宏医員、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)消化器・肝臓内科学の高木章乃夫准教授、岡山大学病院炎症性腸疾患センターの平岡佐規子准教授らの研究グループは、免疫学講座・農学部との共同研究で、整腸剤として使用されている生薬ベルベリンが、腸管粘膜のCD4+T細胞(注2)内のエネルギー代謝関連酵素AMPK活性化を誘導し、慢性腸炎マウスモデルの腸炎を抑制することを発見しました。ベルベリンが細胞内のAMPKを活性化させることは知られていましたが、腸管の炎症を抑制するという作用は、初めて明らかにされたものです。AMPKの活性化が、難治性疾患である炎症性腸疾患の新たな治療アプローチとなる事が期待されます。
 これらの研究成果は8月15日、英国科学誌「Scientific Reports」のResearch Articleとして掲載されました。

◆研究者からのひとこと

この研究をさらに発展させて、治療薬の開発につなげていければと考えています。Keyとなる重要なデータの測定にご協力いただいた免疫学の鵜殿平一郎教授、腸内細菌叢を測定していただいた農学部の森田英利教授に感謝いたします。
高原医員

■論文情報論 文 名:Berberine improved experimental chronic colitis by regulating interferon-γ- and IL-17A-producing lamina propria CD4+ T cells through AMPK activation.掲 載 紙:Scientific Reports 著  者:Masahiro Takahara, Akinobu Takaki, Sakiko Hiraoka, Takuya Adachi, Yasuyuki Shimomura, Hiroshi Matsushita, Tien Thi Thuy Nguyen, Kazuko Koike1, Airi Ikeda, Shiho Takashima, Yasushi Yamasaki, Toshihiro Inokuchi, Hideaki Kinugasa, Yusaku Sugihara, Keita Harada, Shingo Eikawa, Hidetoshi Morita, Heiichiro Udono, Hiroyuki OkadaD O I:10.1038/s41598-019-48331-w.U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31417110

<詳しい研究内容について>
炎症性腸疾患の新たな炎症抑制の機序を発見


<お問い合わせ>
岡山大学病院光学医療診療部
医員   高原 政宏
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
消化器・肝臓内科学
准教授  高木 章乃夫
(電話番号)086-235-7219 (FAX)086-225-5991

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