国立大学法人 岡山大学

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「柿」の全ゲノム解読 ~ 植物における「性の進化」のヒント

2020年02月29日

◆発表のポイント

  • 柿の野生種であるマメガキの全ゲノム配列を解読しました。
  • 柿の進化に特異な全ゲノム倍化によって性決定遺伝子が新しく成立するメカニズムを明らかにしました。
  • 種特異的なゲノム倍化が、植物における性の進化の原動力である可能性を示しました。

 日本人にとってなじみ深い「柿」ですが、近年は科学的観点からも大きく注目を集めています。100年以上も謎に包まれていた「植物の性別」を決定する遺伝子が世界で最初に発見されたのは柿(カキ属)であり、作物の栽培・育種にとっても非常に重要な「性」の研究におけるパイオニア的な存在となっています。岡山大学大学院環境生命科学研究科(農) 赤木剛士准教授は、このたび、カリフォルニア大学デービス校、かずさDNA研究所、京都大学の共同研究者とともに柿の野生種の一つであるマメガキの全ゲノム配列を解読しました。さらに、赤木准教授らの研究によって既に見つかっていたカキ属の性決定遺伝子「OGI」や「MeGI」が、カキ属の進化に特異な「全ゲノム倍化」から生まれたものであり、本来は性に関与していなかった遺伝子が新しく性決定遺伝子に変化する進化のメカニズムを明らかにしました。これは、本来は両性花を着花する植物が、どのように性別を手に入れたのかを紐解く手掛かりになるものです。また、本研究で解読された柿の全ゲノム情報によって、「甘柿と渋柿の違い」や「干し柿・生食柿の適性」といった、私たちにも身近な柿の性質にもゲノム情報からアプローチできるようになると期待されます。本研究成果は、日本時間2月29日(土)午前7時(米国カリフォルニア時間:2月28日(金)午後2時)、米国の科学雑誌「PLOS Genetics」に掲載されました。

◆研究者からのひとこと

私たちの研究チームでは柿やキウイフルーツなどを使って、作物における「性決定」の仕組みや、他にも果実や花の品質に関わる様々な研究を行っています。もし、みなさんの身の回りに「興味深い花、気になる実をつける」柿やキウイフルーツがあればぜひ教えてください。もちろん、カンキツ・モモ・ブドウ・トマトなど、それ以外の園芸作物も大歓迎です。
赤木准教授

■論文情報論文名:The persimmon genome reveals clues to the evolution of a lineage-specific sex determination system in plants掲載紙:PLOS Genetics著 者:Takashi Akagi, Kenta Shirasawa, Hideki Nagasaki, Hideki Hirakawa, Ryutaro Tao, Luca Comai, Isabelle M. HenryD O I:10.1371/journal.pgen.1008566

<詳しい研究内容について>
「柿」の全ゲノム解読 ~ 植物における「性の進化」のヒント


<お問い合わせ>
岡山大学 大学院環境生命科学研究科
准教授 赤木 剛士
(電話番号)086-251-8337
(HP)https://www.okayama-u.ac.jp/user/ushijima/phlab/index.html

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