国立大学法人 岡山大学

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茎が伸長を開始する仕組みの発見~アクセル因子とブレーキ因子の巧妙なバランスによる茎伸長制御~

2020年07月16日

名古屋大学
岡山大学
横浜市立大学
情報・システム研究機構国立遺伝学研究所
理化学研究所
農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)
科学技術振興機構

◆ポイント

  • イネの茎(節間)の伸長開始には植物ホルモンの1つであるジベレリンに加えて、節間の細胞分裂を加速させる因子の増加と、減速させる因子の低下が必要である。
  • これらの因子の組み合わせはイネの環境適応や栽培化の過程で選抜されてきた。
  • これらの因子を用いてイネ以外のイネ科植物の茎伸長を制御することができる。

 このたび、名古屋大学生物機能開発利用研究センター永井啓祐助教、芦苅基行教授らの共同研究チームは、これまで謎であった植物の茎が伸長を開始する仕組みを解明しました。約50年前に日本人の研究者らによって、茎伸長の開始を制御する因子の存在が提唱されていましたが、その実態は未解明のままでした。今回、研究チームはイネを使って、茎伸長におけるアクセル役であるACE1遺伝子とブレーキ役であるDEC1遺伝子の2つの因子を発見し、相反する機能を持つこれらの因子のバランスによって、茎が伸長を開始するタイミングが制御されていることを明らかにしました。また、このACE1遺伝子とDEC1遺伝子による茎伸長の制御機構はイネ科植物に共通したメカニズムであることも判明し、本研究成果はイネだけではなく、コムギやオオムギなどのイネ科作物の草丈を人為的に制御する技術への応用が期待されます。
 本研究は、岡山大学、横浜市立大学、情報・システム研究機構国立遺伝学研究所、理化学研究所、農業・食品産業技術総合研究機構(以下、農研機構)との共同研究で行われたものです。
 この研究成果は、2020年7月16日0時(日本時間)の英国科学雑誌「Nature」オンライン版に掲載されました。

■論文情報論 文 名:Antagonistic regulation of the gibberellic acid response during stem growth in rice掲 載 紙:Nature著  者:Keisuke Nagai, Yoshinao Mori, Shin Ishikawa, Tomoyuki Furuta, Rico Gamuyao, Yoko Niimi, Tokunori Hobo, Moyuri Fukuda, Mikiko Kojima, Yumiko Takebayashi, Atsushi Fukushima, Yasuyo Himuro, Masatomo Kobayashi, Wataru Ackley, Hiroshi Hisano, Kazuhiro Sato, Aya Yoshida, Jianzhong Wu, Hitoshi Sakakibara, Yutaka Sato, Hiroyuki Tsuji, Takashi Akagi and Motoyuki Ashikari
D O I:10.1038/s41586-020-2501-8


<詳しい研究内容について>
茎が伸長を開始する仕組みの発見
~アクセル因子とブレーキ因子の巧妙なバランスによる茎伸長制御~



<お問い合わせ>
岡山大学資源植物科学研究所 
教授 佐藤 和広
E-mail: kazsato◎okayama-u.ac.jp
※@を◎で置き換えています。

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