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国内初「クレアチン合成障害」診断 治療開始

 岡山大学病院小児神経科の秋山倫之講師、小林勝弘講師、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科発達神経病態学分野の吉永治美准教授らは、非常に稀なクレアチン合成障害の患者を国内で初めて発見し、治療を開始しました。この症例報告は2013年7月12日にドイツSpringerの臨床系国際雑誌『Journal of Inherited Metabolic Disease Reports』電子版に掲載されました。
 クレアチンは、体内でのエネルギー貯蔵に極めて重要な物質です。食餌のみではクレアチンは十分に供給できないため、健常人では不足分が体内で合成されます。しかし、この疾患ではクレアチンを体内で作ることができず、発達の遅れやてんかん、自閉症などの症状がみられます。
 本報告により、クレアチン合成障害が日本人にも存在することが世界で初めて示されました。有効な治療法が報告されている疾患のため、今後早期診断・早期治療の体制が整えば、発達の遅れやてんかん発症の予防が期待されます。
<業 績>
 岡山大学病院小児神経科の秋山倫之講師、小林勝弘講師、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の吉永治美准教授(発達神経病態学分野)、ならびに小坂仁医師(神奈川県立こども医療センター神経内科)、新保裕子研究員(神奈川県立こども医療センター臨床研究所)らの研究グループは、クレアチン合成障害をきたすグアニジノ酢酸メチルトランスフェラーゼ(GAMT)欠損症患者の確定診断を国内で初めて行い、治療を開始しました。GAMT欠損症は、非常に稀な疾患であり、日本からの報告は今までありませんでした。また、GAMT欠損症の治療は国内初の試みであり、同院において治療効果を慎重に評価しているところです。

<見込まれる成果>
 クレアチンは体内でのエネルギー貯蔵に極めて重要な物質です。クレアチンは肉や魚に多く含まれますが、食餌だけでは十分量のクレアチンを体に供給することができません。そのため、健常人では自らの体内でクレアチンが新規に合成され、不足分を補っています。ところが、GAMT欠損症患者では、クレアチンの合成に必須なGAMTが生まれつき欠損しているため、体内でクレアチンを作ることができません(図1)。そのため、クレアチン欠乏の症状が現れます。精神運動発達の遅れ、てんかん発作、自閉症などがよくみられる症状であり、未治療だとほぼ全員が重度の知的障害をきたします。
 GAMT欠損症には通常の薬は効きませんが、有効な治療法が報告されています。発症前治療により正常知能を獲得できた報告も少数ながらあります。しかし、GAMT欠損症の症状には特徴が少ないため早期診断は難しく、特に発症前診断は極めて困難です。
 発症前診断のためには、GAMT欠損症を新生児マススクリーニング事業の対象疾患とするのが理想的です。そのためには、患者が日本国内にある程度存在することをまず示さなければなりません。今回の発見により、日本人にもGAMT欠損症が存在することが示されました。今後、GAMT欠損症が広く知られるようになり、発症前診断・治療の体制が整えられれば、発達の遅れやてんかん発症の予防が期待されます。


図1 体内でのクレアチン合成経路とGAMT欠損症患者の脳内クレアチンの欠損

<補 足>
 今回GAMT欠損症の診断を受けた患者は、治療開始後わずか3日で、長年苦しんでいたてんかん発作が完全になくなりました。治療開始後2ヵ月経った現時点においても発作の再発はなく、今まで飲んでいた抗てんかん薬を減らし始めたところです。

発表論文はこちらからご確認いただけます

発表論文:Akiyama T, Osaka H, Shimbo H, Nakajiri T, Kobayashi K, Oka M, Endoh F, Yoshinaga H. A Japanese adult case of guanidinoacetate methyltransferase deficiency. JIMD Rep, 2013; (doi: 10.1007/8904_2013_245)

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<お問い合わせ>
岡山大学病院小児神経科 講師
(氏名)秋山 倫之
(電話番号)086-223-7151
(FAX番号)086-235-7377
(URL)//www.okayama-u.ac.jp/user/cneuro/