国立大学法人 岡山大学

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弥生時代の争いの原因を検証:人口増加が重要な要因であることを明らかに

2021年06月15日

岡山大学
南山大学
東北大学
国立歴史民俗博物館

◆発表のポイント

  • 弥生時代北部九州に注目し、墓の数から人口、骨に残された傷から争いの頻度を推定しました。
  • 推定された人口と争いの頻度の間に正の相関関係が見られました。
  • 他の要因との関係をさらに探ることで、「人はなぜ争うのか」という人類普遍の問いに迫ることが期待されます。

 南山大学人類学研究所の中川朋美博士研究員・中尾央准教授と岡山大学文明動態学研究所の松本直子教授ら、東北大学の田村光平助教、国立歴史民俗博物館の松木武彦教授らの研究チームは、弥生時代中期(紀元前350年~紀元30年)に北部九州で起こった争いの原因を検討し、人口圧が一つの重要な要因であることを明らかにしました。
 これらの研究成果は6月5日、米国の考古学専門誌「Journal of Archaeological Science」のResearch Articleとして掲載されました。
 本研究では、この時期の北部九州で広く見られる甕棺(かめかん)と呼ばれる墓の数から推定された人口圧と、骨に残された傷から推定された争いの頻度の関係を、統計的に考察しました。こうした定量的な考察は、今後の考古学のあり方を大きく変えていくだろうと考えられます。また、さまざまな考古学的証拠を量的に表現・検討することで、日本だけでなく、海外のデータとの国際的な比較も進んでいくでしょう。
 「人はなぜ争うのか」という問いは、時期や場所を問わず、まさに人類普遍のものです。今後、人口圧以外のさまざまな要因も考慮することで、この普遍的な問いへさらに迫ることが期待されます。

■論文情報
論文名:Population pressure and prehistoric violence in the Yayoi period of Japan
邦題名:弥生時代における人口圧と争い

掲載紙:Journal of Archaeological Science
著 者:Tomomi Nakagawa, Kohei Tamura, Yuji Yamaguchi, Naoko Matsumoto, Takehiko Matsugi, and Hisashi Nakao
DOI:https://doi.org/10.1016/j.jas.2021.105420

<詳しい研究内容について>
弥生時代の争いの原因を検証:人口増加が重要な要因であることを明らかに

<お問い合わせ(岡山大学)>
岡山大学文明動態学研究所 教授 松本 直子
(電話)086-251-7519

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