国立大学法人 岡山大学

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日本産野生ブドウのリュウキュウガネブおよびヤマブドウを投与したマウスで、有害物質による肝臓障害が有意に減少することを発見

2021年12月16日

◆発表のポイント

  • 日本にある7種8変種ある野生ブドウの中から、鹿児島島嶼部と沖縄県に自生するリュウキュウガネブと本州・四国・北海道に自生するヤマブドウの2種の果汁の機能性を比較研究しました。
  • どちらの果汁も、マウスにあらかじめ投与すると、肝傷害物質CCL4投与による肝機能傷害を予防・保護することが分かりました。
  • リュウキュウガネブ果汁は、既報のヤマブドウ果汁と同じく、抗変異原性作用や抗炎症作用のあることも明らかとなりました。

 岡山大学学術研究院医歯薬学域(薬)の有元佐賀惠准教授は、南西諸島で自生する野生ブドウのリュウキュウガネブ果汁の機能性を、これまで研究してきた野生ブドウのヤマブドウ(岡山県産)と比較研究しました。トカラ列島口之島産のリュウキュウガネブ果汁は、ヤマブドウと同様に抗変異原性や抗酸化性を示し、マウス皮膚に対し抗炎症作用を示すことがわかりました。
 さらに、今回初めて肝臓障害防護に対する機能性を研究したところ、マウスにあらかじめ果汁を投与すると、どちらの果汁も、肝傷害物質CCL4投与による肝機能異常指標GOTの上昇を抑える、つまり肝臓の保護をすることがわかりました。
 これまで、自生産物として自家消費的に飲まれていた食品の機能性が明らかになり、離島の産物の有用性が明らかになることは、今後の利用促進に向けて価値があると考えられます。
 これらの研究成果は11月12日、BioMed Central(UK)の雑誌「Genes and Environment」(インパクトファクター2.085)のResearch Articleとして掲載されました。
 この研究は香川大学農学部附属農場長 望岡亮介教授との共同研究です。

◆研究者からのひとこと

癌予防を目指して、天然産物、特に果汁を研究してきました。まだ、マウスレベルですが、新たな植物果実に機能性を見出せたのは嬉しいことです。日本の野生植物にはまだまだ未発見の機能性があると期待しています。
有元准教授

■論文情報
論 文 名:Antimutagenic, anti-inflammatory, and antioxidative activities of the juice of Vitis ficifolia var. Ganebu, a woody vine in the grape family, known as Ryukyu-ganebu in Japan
掲 載 紙:Genes and Environment
著  者:Sakae Arimoto-Kobayashi, Ryoko Hida, Nana Fujii and Ryosuke Mochioka
D O I:https://doi.org/10.1186/s41021-021-00225-y

<詳しい研究内容について>
日本産野生ブドウのリュウキュウガネブおよびヤマブドウを投与したマウスで、有害物質による肝臓障害が有意に減少することを発見


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域(薬)
准教授 有元 佐賀惠
(電話/FAX番号)086-251-7947

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