国立大学法人 岡山大学

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ナノ立方体ブロックでリチウムイオン電池の充放電時間を大幅に短縮

2021年12月24日

◆発表のポイント

  • リチウムイオンを引き寄せる性質を持つナノサイズの立方体ブロック(ナノキューブ)をリチウムイオン電池に加えることで、充放電時間を大幅に短縮できることが分かりました。
  • リチウムイオンがナノキューブの表面を通りながら、高速で電極まで移動することが分かりました。
  • 数秒での超急速充放電を可能とする次世代電池の開発に繋がるものと期待します。

 岡山大学学術研究院自然科学学域・寺西貴志准教授のグループは、産業技術総合研究所 極限機能材料研究部門・三村憲一主任研究員のグループと共同で、ユニークなナノサイズの立方体ブロックをリチウムイオン電池に加えることで、従来の電池の充放電時間を大幅に短縮することに成功しました。研究成果は、12月13日付でドイツ科学誌「Advanced Materials Interfaces」のオンライン版に掲載され、本誌の表紙(Inside Back Cover)にも採用されました。
 リチウムイオン電池は現代の社会インフラを支える必要不可欠なデバイスとなっています。特に、ハイブリッド自動車や電気自動車の加速的な普及により、ごく短時間で充放電可能な電池の開発が求められるようになってきました。本研究は、リチウムイオン電池の正極材料と電解液の間に、リチウムイオンを引き寄せる性質をもつナノサイズの立方体ブロック形状の結晶を適量加えることで、リチウムイオンの出し入れ速度が大幅に早まることを見出しました。小型コインセルを用いて、3分間の急速充放電試験を行ったところ、ナノキューブを加えた電池において、従来電池の4.3倍もの電気容量が得られることが分かりました。
 今後、普及が広まる電気自動車に向けて、数秒での超急速充放電を可能とする次世代電池の開発に大きく貢献しうる画期的な研究成果であると考えます。

◆研究者からのひとこと

本研究成果が、超急速充放電を可能とする次世代電池の開発に繋がれば、大変喜ばしく思います。
寺西准教授

■論文情報
論 文 名:Ultrafast Ion Transport via Dielectric Nanocube Interface
掲 載 紙:Advanced Materials Interfaces
著  者:Takashi Teranishi, Ryoji Yamanaka, Ken-ichi Mimura, Mika Yoneda, Shinya Kondo, Kazumi Kato, and Akira Kishimoto
DOI:10.1002/admi.202101682
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/admi.202101682

<詳しい研究内容について>
ナノ立方体ブロックでリチウムイオン電池の充放電時間を大幅に短縮


<お問い合わせ>
岡山大学 学術研究院 自然科学学域
准教授 寺西 貴志
(電話番号) 086-251-8070

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