国立大学法人 岡山大学

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CCN2に関節軟骨の老化防止作用があることを証明

2013年09月25日

 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科口腔生化学分野の滝川正春教授、服部高子助教らの研究グループは、CCN2/CTGFを軟骨特異的に過剰発現するトランスジェニックマウスを作成し、同マウスにおいて関節軟骨の老化が防止されていることを世界で初めて突き止めました。
 本研究成果は2013年8月12日、米国のオンライン科学雑誌『PLoS One』に掲載されました。
 同グループはこれまでに、CCN2に調和ある組織再生作用があることを報告してきました。今回の報告では、CCN2が老化に伴う変形性関節症の発症を予防できることが見出され、CCN2が関節軟骨の老化を防止する治療薬の新たな標的となる可能性を示唆しました。
<業 績>
 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科口腔生化学分野の滝川正春教授らは、CCN2 [肥大軟骨細胞特異的遺伝子産物24(HCS-24)、結合組織成長因子(CTGF)と同一の分子で現在はCCN2と名前が統一されている]を軟骨特異的に過剰発現するトランスジェニックマウスを作成したうえで、同マウスでは長管骨が伸長することを明らかにし、CCN2が内軟骨性骨形成促進因子であることの証明を2013年3月の米国のオンライン科学雑誌『PLoS One』に発表していました。
 今回、滝川教授らの研究グループは、このトランスジェニックマウスを老齢化するまで飼育し、その関節軟骨を調べた結果、老化に伴う自然発症型の変形性関節症が全くみられなく若々しい関節軟骨であることを見出しました。これにより、CCN2には関節軟骨の老化防止作用があることを世界で初めて明らかにしました。

<見込まれる成果>
 変形性関節症は老化や過度の機械的刺激により関節軟骨がすり減り、関節痛と運動障害を引き起こす疾患で、老齢人口の半数以上が罹患する疾患として、社会的にも大きな問題となっている疾患です。CCN2には、調和ある組織再生作用があることが、滝川教授らの研究グループの他のいくつかの研究報告により明らかにされており、トランスジェニックマウスでも関節軟骨にCCN2を長期に発現させることにより関節軟骨の機能を老齢化にいたるまで長期に維持できることがわかりました。これにより将来、CCN2は変形性関節症の予防ならびに治療の新たな標的となる可能性が期待されます。
<補 足>
 CCN2とは:
CCN2は、CCN1~6の6つの分子種からなるCCNタンパク質・遺伝子ファミリーの一員です。このファミリータンパク質は、CCN5がC末モジュールを欠落する以外4つの特徴的なモジュール構造を持つ、システインに富む分泌タンパク質で、各モジュールが種々の細胞外マトリックス、増殖・分化因子、その受容体などに結合し、多彩な作用を発揮します。
 このような機構を介して、CCN2は、骨・軟骨の調和ある再生作用を示す一方、通常発現していない軟組織での異常な発現は、その強力なマトリックス合成促進作用から、種々の線維症を引き起こすことが示唆されており、その治療薬開発の標的としても注目されています。 
 
 本研究は、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)科研費基盤研究(S)(110,500,000円)、基盤研究(B)(18,200,000円)、基盤研究(C)(4,680,000円)および挑戦的萌芽研究(3,640,000円)の助成を受け実施しました。

発表論文はこちらからご確認いただけます

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<お問い合わせ>
(所属)岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
    口腔生化学分野 教授
(氏名)滝川 正春
(電話番号)086-235-6645
(FAX番号)086-235-6649

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