東塚石室では、4区より鉄鏃と骨片が出土している。
鉄鏃は鑿箭式の先端部である。骨片は顎骨および頭蓋骨の一部で、第2閉塞の直下より出土しているが、その動物種は断定し難い。顎骨に伴う歯が著しく擦り減っているのが確認できる。
東塚前庭部からは、鉄鏃2点、不明鉄製品2点、鉄滓、須恵器甕片、陶棺片が出土している。
鉄鏃はいずれも長頸式の頸部である。不明鉄製品のうち1点は6.0×1.5cmの長三角形の鉄板が折り曲げられた様相を呈しており、古墳との関連は明確ではない。後世の遺物の可能性がある。もう1点は1.8×0.5cmの鉄片で、前庭部東トレンチの拡張部分のピット内より出土しているが、これも古墳とどのように関係するのか明らかになっていない。鉄滓はその一部が同ピット内に集中している。須恵器甕片はくすんだ青灰色で、内部に同心円文を有している。陶棺片はD陶棺のものであると思われる。
これらのほか、前庭部および墳丘から弥生土器、土師質土器の破片が出土している。