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Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.60 発行

 本学は12月26日、本学の強みである医療系分野の研究成果について、革新的な基礎研究や臨床現場、医療産業等に結びつく成果を英語で情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.60を発行しました。
 2012年より岡山大学では、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者等にニュースやトピックスを交えて配信し、岡山大学の海外への情報発信を強化と国際的知名度の向上などを推進しています。
 OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。
 本号では、大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)予防歯科学分野の森田学教授と同分野大学院生の内田瑶子歯科医師らの常在菌が正常な骨形成を促進するメカニズムを発見した研究成果について紹介しています。
 森田教授と内田歯科医師らは、常在菌の存在が、骨の新陳代謝を司る骨芽細胞と破骨細胞を活性化していることを発見しました。
 人為的に常在菌を欠損させた無菌マウスの骨格と、常在菌を持つ通常マウスを比較したところ、通常マウスの骨格は無菌マウスより顕著に大きく、一方で無菌マウスは過度な石灰化を伴っていることがわかりました。常在菌を持つ通常マウスでは活性化された破骨細胞が多く存在していました。また、これらのマウスから単離した骨芽細胞では、通常マウスにおいて石灰化を抑制するオステオカルシン遺伝子の発現が促進されていました。
 本研究は、常在菌が骨芽細胞にエピジェネティックな変化を誘発し、遺伝子発現を制御することを示唆しており、常在菌が免疫応答だけでなく骨形成および骨代謝を促進していることを示しています。私たちの身体を支えている骨は日々作り替えられています。“作る”と“壊す”のバランスは絶妙に保たれているのですが、一度そのバランスが崩れると、骨粗鬆症などのように私たちの日常生活に大きな影響を及ぼすことになります。また近年の研究から、骨は私たちの身体を支える以外の役割を果たしていることが分かってきています。今回分かったことは常在菌と骨形成との関係ですが、常在菌が与える影響を介して、長期間骨を労ることができる治療法の開拓を導く可能性があります。
 岡山大学は、2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある医療分野の国際的な情報発信を力強く推進していきます。また、強みある医療系分野から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術として、より早く届けられるように研究開発を推進していきます。
 なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)Vol.60:Role of commensal microbiota in bone remodeling


<Back Issues:Vol.52~Vol.59>
Vol.52:A protein found on the surface of cells plays an integral role in tumor growth and sustenance (大学院保健学研究科 廣畑聡教授)
Vol.53:Successful implantation and testing of retinal prosthesis in monkey eyes with retinal degeneration (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 松尾俊彦准教授、大学院自然科学研究科(工学系)内田哲也准教授)
Vol.54:Measuring ion concentration in solutions for clinical and environmental research (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 紀和利彦准教授)
Vol.55:Diabetic kidney disease: new biomarkers improve the prediction of the renal prognosis (大学院医歯薬学総合研究科(医学系) 和田淳教授、三瀬広記医員)
Vol.56:New device for assisting accurate hemodialysis catheter placement (大学院医歯薬学総合研究科(医学系) 大原利章助教)
Vol.57:Possible link between excess chewing muscle activity and dental disease (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)皆木省吾教授、加藤聖也医員)
Vol.58:Insights Into Mechanisms Governing the Resistance to the Anti-Cancer Medication Cetuximab (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)江口傑徳助教)
Vol.59:Role of commensal flora in periodontal immune response investigated (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)森田学教授、福原大樹医員)


<参考>
岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」


【本件問い合わせ先】
広報・情報戦略室
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp


本号で紹介した研究成果を担当した森田学教授と内田瑶子歯科医師(右)


国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています