岡山大学病院リプロダクションセンター開設

 生殖医療に特化した「リプロダクションセンター」を岡山大学病院内に開設
不妊症、不育症、がん患者の生殖機能温存への先進医療を推進


 生殖(リプロダクション)に関する医療は、技術の進歩が目覚ましい一方で、生命・医療に関する倫理的な課題も生み出しています。また、生殖医療は、生命の誕生と喪失の現場でもあり、不妊症や不育症(流死産を繰り返す状態)患者では、カップルがともに先の見えない不安や自己肯定感の低下などに向き合うことになり、精神的な支援も必要になります。
 岡山大学では、総合大学の特長を活かし、医学部―農学部連携(医農連携)により2013年、「胚培養士の養成に特化」、「総合大学に設置」、「生殖医療の教育と研究の融合」などの点において国内初の拠点である岡山大学生殖補助医療技術教育研究センターを開設。体外受精などで、ヒトの卵子や精子、受精卵を取り扱う胚培養士の養成を開始しました。医学部におけるヒトへの医療や倫理観などを習得するとともに、動物の卵子や精子、受精卵などを用いて、体外受精などの実習を行うことのできる教育施設として注目されています。この医農連携は、教育のみではなく、生殖医療への応用を目指した各種の研究にもつながっています。
 また、岡山大学病院は日本で初めて、抗がん剤治療による卵巣機能の低下が予測されるがん患者の将来の妊娠のために、卵巣の凍結保存を実施しており、現在がん患者の妊孕性(妊娠する能力)温存治療の拠点となっています。さらに、2013年からは岡山大学内外の「がん治療」と「生殖医療」に関わる医療スタッフ(医師、看護師、助産師、心理士、胚培養士など)が集まり、地域全体のがん患者が妊孕性・生殖機能を温存できるように「がんと生殖医療ネットワークOKAYAMA」を設立しています。
 新設する岡山大学病院「リプロダクションセンター」ではこれらの人材や技術を生かし、不妊症や不育症患者、生殖機能温存を希望するがん患者などに、先進的かつ心理面、倫理的な課題にも対応する包括的医療を提供します。

 
 ・資料(PDF)

2018年10月01日