国立大学法人 岡山大学

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研究現場の生の声を聞き技術職員のスキルアップを図るTCカレッジ「医工系コース」での鹿田キャンパス研究室見学(第2弾)を実施

2024年01月05日

 本学総合技術部は、12月15日にTCカレッジ「医工系コース」※1の必修カリキュラムのひとつである「研究室見学(鹿田キャンパス)」を岡山大学病院 遺伝子・ゲノム融合推進検査室(以下、研究施設)で実施しました。TCカレッジは技術職員を対象とした高度専門人材養成を目的としており、医工系コースは6月から開講しています。また研究室見学は、11月に本学津島キャンパスにおいても実施しました。鹿田キャンパスでの研究室見学は、岡山大学病院の最先端医療に関わる研究・技術・知識を学ぶことで、個々の技術・能力の向上を目指し、また研究者との相互関係をより強固なものにすることなどを目的にしています。
 開講にあたり、総合技術部本部長で医工系コース監修教員である佐藤法仁副理事・副学長・URAのオンラインでのあいさつがあり、その後、研究施設見学と担当者との意見交換等を行いました。
 研究施設では「遺伝子検査部門」と「ゲノム検査部門」と「研究推進部門」の3つの部門が連携しており、臨床研究、基礎研究を含めた事業を推進するためにもとても重要な施設です。まず「遺伝子検査部門」では、岡山大学病院の青江伯規副臨床検査技師長の説明により、リアルタイムPCR法(全自動遺伝子解析)、Quenching Probe法(全自動遺伝子解析)、サンガーシークエンス法(フラグメント解析)等の機器を見学。「ゲノム検査部門」では、井上博文主任臨床検査技師の説明による病理標本であるパラフィン包埋ブロックから薄切標本を作製後、自動核酸精製装置により薄切サンプルから自動的にDNAやRNAの核酸の抽出を行う過程を学びました。同時に、マクロダイセクション※2による標的となる腫瘍細胞をパラフィンごとメス(スパーテル)で削り取り、マイクロチューブ内に入れる体験実習も実施しました。「研究推進部門」では、岡山大学病院ゲノム医療総合推進センターの冨田秀太准教授の説明により、最先端医療解析機器であるデジタル空間プロファイラー(DSP)GeoMxを用いたマルチオミックス解析を見学しました。また、パラフィン包埋薄切標本を解析対象として、蛍光標識により空間的位置情報を保有した状態で、核酸やタンパク質を抽出することが可能となる機器である点などを学びました。実際にGeoMxの操作方法を習い、観察対象領域(ROI=Region of Interest)を決定する作業の体験も行いました。研究施設では「遺伝子検査部門」と「ゲノム検査部門」と「研究推進部門」の3つの部門が連携しており、臨床研究、基礎研究を含めた事業を推進する上で重要な施設です。
 各部門で活発な質疑応答が行われ、受講生である楢崎正博技術専門職員は「研究施設では、最新医療機器により遺伝子・ゲノム解析を行うことで、最適な治療薬や治療法の選択をする際に重要な役割を担っていることがわかりました。また今回見学した技術を今後の業務に生かしていきます」とコメント。塚野萌美技術職員は「普段の業務では臨床検査に係ることがないため、臨床検査に用いられている機器の見学や実際に作業を体験させていただいたことは貴重な経験となりました。研究推進部門であるゲノム医療総合推進センターの機器については、大学の共通機器にも登録されているので、私の周りの先生方にも必要に応じて紹介したいと思います」とコメントしました。
 今回の研究室見学の開催について、佐藤副理事・副学長・URAは「今回のTCカレッジ医工系コース研究室見学(鹿田キャンパス)にご協力いただいた岡山大学病院遺伝子・ゲノム融合推進検査室の方々ならびに関係者の皆様に深く感謝申し上げます。本学は我が国有数の大規模医療機関であり、さまざまな拠点となっている岡山大学病院を抱えています。病院の医療活動における技術と人材・組織は、極めて高度であり、総合技術部の目指すべきものの一つとも言えます。また今回のような大学・病院間での連携による技術職員と医療技術職員との連携強化は全国的にも非常に珍しいものであり、TCカレッジも含めて本学ならではとも言える活動です。ぜひ本学における技術職員と医療技術職員の連携強化等による研究力・イノベーション創出強化にご期待ください」と今後の意気込みを語りました。
 今後も地域と地球の未来を共創し、社会変革を実現させる研究大学:岡山大学の一翼を担う本学総合技術部の取り組みにご期待ください。
 なお、1月22日に、技術職員の組織化やキャリア形成などを議論するシンポジウム「チーム共用による技術職員組織構築の過去・現在・未来」をハイブリッド形式(本学鹿田キャンパスとオンライン)で開催します。ぜひ皆さまのご参加をお待ちしています。

※1 TCカレッジについて
令和3年度から東京工業大学で始まった技術職員を対象とした高度人材育成のためのプログラムで、高い技術力・研究企画力を持つ技術職員をテクニカルコンダクター(TC)として認定する制度です。本学も参画しており、本年度は「医工系コース」を本学が試行しており、来年度からの本格運用を目指しています。

※2 マクロダイセクション
病理組織ブロックを薄切した切片から、目分量で目的の部位や病変を定め、ゲノム解析目的に組織を削り取る方法のこと。

<参考>
TCカレッジ岡山大学サテライト校「医工系コース」開講 ~技術職員の「高度専門人材養成」を強化促進~
研究現場の生の声を聞き技術職員のスキルアップを図るTCカレッジ「医工系コース」での研究室見学を実施

【本件問い合わせ先】
岡山大学総合技術部 医学系技術課(医工系コース担当)阿部匡史
TEL : 086-235-7125
HP:岡山大学総合技術部

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