本学は9月30日、岡山県商工会連合会と連携し、学生と地域企業によるCO₂排出量の可視化チャレンジに関するキックオフワークショップを開催しました。
本取り組みは、岡山県商工会連合会との連携・協力協定に係る取り組みの一環として令和5年度から実施しているものです。
カーボンニュートラルの実現には、企業単体での取り組みだけでなく、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出削減が不可欠であり、その前提として排出量の「見える化」が重要です。本プロジェクトでは、学術研究院社会文化科学学域(経済)・天王寺谷達将准教授のゼミに所属する学生が、吉備中央町商工会会員であり多種多様な事業を展開するシバムラグループが生産・販売する商品を対象に、経済産業省および環境省のガイドラインに基づき、カーボンフットプリント(CFP)の算定に挑戦します。
ワークショップには、天王寺谷ゼミの学生5人と岡山県商工会連合会職員が参加。冒頭、天王寺谷准教授から、カーボンフットプリントを通じた中小企業の企業価値向上やこれまでの取り組み内容について説明がありました。続いて、シバムラグループの事業全体像を踏まえ、今回の算定対象をどの商品にするかについて活発な議論が行われました。
その後、一行はマイクロバスで移動し、シバムラグループが運営する「道の駅かよう」やブルーベリー農園・加工所などを見学。学生たちは「シバムラグループが町全体を支えているかけがえのない存在であることがよくわかった」と話し、中には「ブルーベリージュースの加工工程を初めて見た。搾りかすを利用した商品は環境負荷が低そうなので算定してみたい」との声もあり、意識の高まりがうかがえました。
シバムラグループの芝村啓三代表は、「これからは持続可能な経営が大事で避けて通れない。カーボンフットプリントチャレンジは自社だけではできないことを岡山大学と一緒にできる貴重な機会。数字に裏付けられた改善策や新たな視点が芽生えれば非常にうれしい」と今後の意気込みを語りました。
今後は、CFP算定に必要なデータを収集し、年内のカーボンフットプリント算定を目指します。さらに、本取り組みで得られた経験を地域に広く還元することで、地域全体の脱炭素経営への機運向上を図ります。
将来的には、シバムラグループ内で稲作における中干期間の延長によって創出されるカーボンクレジットを活用し、カーボンオフセット商品の開発・提供にも取り組むことで、地域における持続可能な価値創造の新たなモデルの確立を目指します。
この活動は本学が昨年度、環境省「地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築モデル事業」に採択されて以来進めてきた活動を基盤とし、今年5月に立ち上げた「カーボンフットプリントを起点とした価値創造ワーキンググループ (CFP Nexus WG)」を通じて支援体制・企業連携のさらなる強化を図りながら、より実践的で波及効果のある取り組みへと発展させています。
今後も、学生・地域企業・支援機関が一体となって、地域ぐるみでカーボンフットプリントを起点とした価値創造に向けた挑戦を力強く進めていきます。
○カーボンフットプリント
カーボンフットプリントとは、製品やサービスの原材料調達から廃棄、リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出されるGHG(温室効果ガス)の排出量をCO2排出量に換算し、製品に表示された数値もしくはそれを表示する仕組みのこと。
出典:カーボンフットプリント ガイドライン(経済産業省、環境省)
〇シバムラグループ
岡山県吉備中央町を拠点に「冠婚葬祭ギフト」「観光×農業」「暮らしのサポート」など多様な事業を地域密着で展開する企業グループ。
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【本件問い合わせ先】
研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部 舩倉
TEL:086-251-7151
Email: co-creation◎adm.okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。
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2025年10月03日