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Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.48 発行

 本学は2月3日、本学の強みである医療系分野の研究成果について、革新的な基礎研究や臨床現場、医療産業等に結びつく成果を英語で情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.48を発行しました。
 2012年より本学では、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行。国際科学雑誌「Science」を扱うAAAS(米国科学振興協会)のメーリングリストを利用し、世界の研究者等にニュースやトピックスを交えて配信し、本学の海外への情報発信を強化と国際的知名度の向上を推進しています。
 OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、強みある医療系分野の更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行。
 本号では、大学院医歯薬学総合研究科(医学系)消化器外科学分野の藤原俊義教授と岡山大学病院新医療研究開発センターの田澤大准教授、黒田新士助教らの、局所投与から全身投与への適応拡大に至ったステルス効果を有する腫瘍融解アデノウイルス製剤の開発を紹介しています。
 藤原教授、大学院生の青山克幸医師、田澤准教授、黒田助教らの研究グループは、これまで局所投与にのみ適応が限定されていた腫瘍融解アデノウイルスのプラスミドDNA を、ナノサイズの薬物担体であるリポソームに搭載。ウイルス中和抗体などの免疫系による排除を回避するステルス機能を有するようになったことで、全身投与で治療効果を期待できるステルス性腫瘍融解アデノウイルス製剤の開発に成功しました。
 今回、本研究グループが開発したステルス性腫瘍融解アデノウイルス製剤は、ナノ技術を利用して免疫系からのステルス機能を獲得することで、全身投与による治療効果が期待できる製剤です。これまで治療用アデノウイルス製剤「テロメライシン」※1が適応にならないような全身に転移を有するがん、あるいは局所投与が困難な領域のがんへの適応拡大につながる可能性があります。
 また、腫瘍融解アデノウイルスのプラスミド DNA をリポソームに搭載して運搬するという発想は、テロメライシンに限らず他の腫瘍融解ウイルスでの応用も可能であり、本研究成果は、将来的には腫瘍融解ウイルス製剤全体の適応拡大へつながる可能性を秘めていると考えられます。
 本学は、平成25年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進していきます。また、強みある医療系分野から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術として、より早く届けられるように研究開発を推進していきます。
 なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

※1 テロメライシン
 風邪ウイルスの一種であるアデノウイルスの増殖に関与するE1 領域に、多くのがん細胞で活性が上昇しているテロメラーゼという酵素のプロモーターを遺伝子改変によって組み込み、がん細胞内で特異的に増殖して、がん細胞を殺傷するように設計された腫瘍融解アデノウイルス製剤です。テロメライシンがヒトのがん細胞に感染すると、一日で10 万~100 万倍に増え、がん細胞を破壊します。一方、テロメライシンは正常細胞にも同様に感染しますが、テロメラーゼ活性がないためにウイルスは増殖せず、正常組織でのダメージは少ないと考えられます。


Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.48:Nanotechnology-based approach to cancer virotherapy


<Back Issues:Vol.41~Vol.47>
Vol.41:Inorganic biomaterials for soft-tissue adhesion (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)松本卓也教授)
Vol.42:Potential drug for treating chronic pain with few side effects (自然生命科学研究支援センター 宮地孝明准教授)
Vol.43:Potential origin of cancer-associated cells revealed (大学院自然科学研究科(工学系) 妹尾昌治教授)
Vol.44:Protection from plant extracts (中性子医療研究センター 小野俊朗教授)
Vol.45:Link between biological-clock disturbance and brain dysfunction uncovered (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)宝田剛志准教授)
Vol.46:New method for suppressing lung cancer oncogene (大学院自然科学研究科(工学系) 世良貴史教授)
Vol.47:Candidate genes for eye misalignment identified (大学院医歯薬学総合研究科(医学系) 松尾俊彦准教授)


<参考>
Okayama University e-Bulletin://www.okayama-u.ac.jp/user/kouhou/ebulletin/


【本件問い合わせ先】
広報・情報戦略室
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp

(18.02.09)



(左から)本号で紹介した研究成果を担当した藤原俊義教授と田澤大准教授、黒田新士助教
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。
また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています