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病理学とは

病理学とは
理学とは病気を知る学問で、病気の原因や成り立ちを科学的に解明しようとするものです。
病気の本質を理解するためには、患者さんの検体を研究するだけでは不十分で、人体ではできない研究を動物実験などで行い因果関係を実証することが不可欠です。実験なしに病気の原因を突き止めることはできません。このため、病理には人体病理学と基礎病理学という2つの柱があります。この2つの研究が相まって、初めて病気の本態が理解できます。
 

医学の祖:ヒポクラテス体液病理学を唱える  
Pathology = pathos + logos pathos:病気 logos:学問
病理医とは

病理医とは
者さんの細胞・組織の組織診断を行う医師のことを病理医といいます。病理医は、ほぼ全診療科の患者さんの診断に深く関わっています。患者さんが病院に来院されると、問診、触診、血液検査、画像診断や細胞診検査、内視鏡検査が行われます。細胞診診断は、細胞検査士という資格をもつ専門技師と病理医の共同で行います。内視鏡検査時に採取される生検組織の顕微鏡検査による病理診断は最終診断として取り扱われます。手術中の切除断端にがん細胞の取り残しがないか、リンパ節に転移がないか、などの術中迅速診断も病理医が行います。不幸にして患者さんが亡くなられた場合、生前の診断は正しかったのか、治療は適切だったのか、死因はなにか、などを検証する剖検診断も行います。
 米国では病理医はDoctor’s doctorと呼ばれています。
 
 

理医は、守備範囲が広く「楽(らく)」ではありません。しかし、受け持ち患者さんがいないため、比較的自由に時間を使えます。患者さんと接する機会が少ないため、仕事中にもゆとりがもてます。顕微鏡があれば、どこでも仕事ができます。当直はありません。病理医として診療に関わりながら、疾患の病因・病態の解明を目指した研究に時間を使えます。他の診療科に較べて臨床と研究の両立が容易です。待遇は他の臨床科と同じです。研究を行いたいが医師として臨床にも関わっていたい人には最適な分野です。実験病理・診断病理の研鑽に情熱を注ぐ人はもちろん、時間的に制約のある人、趣味を大切にしたい人、家事・子育てと両立したい人も柔軟に対応できます。病理はやり甲斐のある「楽」しい 仕事です。
病理診断

病理診断
理診断は、生検組織や手術摘出組織、病理解剖後の最終診断として取り扱われます。正しい診断・治療には、臨床各科の医師と病理医の連携は欠かせません。病理診断は医療の根幹を支えています。当教室でも、毎日、組織診断、細胞診診断を行い、臨床科としての業務も行っています。病気のわかる病理医・病理研究者の育成は非常に大切です。
 

組織診断:生検、手術などの受託検体、
岡山大学病院・関連病院の組織検体(協力)
(年間4000〜5000件)
細胞診断:各臨床科からの受託細胞診検体
(年間500〜600件)
剖検診断:岡山大学病院・地域病院の解剖症例
(年間20〜30症例前後)

病理専門医とは

病理専門医とは
理医は医療の根幹を支えています。平成20年に病理診断科として診療科に加わりました。病理診断を専門とする医師を病理専門医と呼びます。専門医制度で広告が認められた専門医の一つであり、医行為である病理診断業務を専門にします。
 病理専門医は全国的に不足しています。病理医は患者さんの前に出る機会が少ないため一般に認知されていませんが、医師不足で有名な小児科医、産婦人科医、外科医よりはるかに少ないのが現状です。
全医師数のわずか0.7%で、岡山県には現在42人しかいません(平成21年現在)。病理医は、地味、仕事がきつい、標本や顕微鏡相手、といったイメージのせいかもしれません。
 病理医は患者さんの運命を決める非常に重要でやりがいのある仕事です。標榜科として認可されたことを受け、今後は病理外来も増えると思われます。患者さんや病院スタッフの前に出て、臨床医として診療に関わる機会が増えていくことでしょう。顔のみえる病理医が求められています。