岡山大学 歯学部

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Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.40 発行

2017年05月24日

 本学は5月22日、本学の強みである医療系分野の研究成果について、革新的な基礎研究や臨床現場、医療産業等に結びつく成果を英語で情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.40を発行しました。
 2012年より本学では、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年4回発行。国際科学雑誌「Science」を扱うAAAS(米国科学振興協会)のメーリングリストを利用し、世界の研究者等にニュースやトピックスを交えて配信し、本学の海外への情報発信を強化と国際的知名度の向上を推進しています。
 OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、強みある医療系分野の更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。
 本号では、大学院医歯薬学総合研究科(医学系)薬理学分野の西堀正洋教授らの、脳の興奮性異常によって発症するてんかんの新たなメカニズムについて取り上げています。
 西堀教授らは、は、マウスで作製された薬物誘発てんかんモデルで、神経細胞、特に海馬領域の神経細胞から放出される細胞核内タンパク質HMGB1が、血液脳関門の破綻と炎症性サイトカイン産生の誘導に働くことを明らかにしました。また、HMGB1の働きを中和する抗HMGB1抗体は、脳血管の保護作用と抗炎症作用を発揮し、その結果痙攣(けいれん)発作を抑制することがわかりました。
 また、抗HMGB1抗体の投与は、痙攣発作に随伴する脳血管の透過性を抑制し、同時に生じる炎症応答を抑えることが判明しました。さらに、注目すべき点として、てんかん原性の獲得に重要な働きをすると考えられているサイトカインIL-1βの発現を強く抑制することも判明したなったことから、てんかん発作の出現過程の進行を抑制する可能性があります。
 てんかん症治療には、多くの種類の薬物が開発されていますが、イオンチャンネルに直接作用するものがほとんどです。一方、患者の20~30%には効きません(難治性てんかん)。抗HMGB1抗体はイオンチャンネルを標的としないため、既存薬とは全く異なった作用メカニズムで働く薬物として、今後の研究が期待されます。
 本学は、平成25年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進していきます。また、強みある医療系分野から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術として、より早く届けられるように研究開発を推進していきます。
 なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.40:Antibodies prolong seizure latency in epileptic mice

<Back Issues:Vol.33~Vol.39>
Vol.33:Attacking tumors from the inside (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)藤原俊義教授)
Vol.34:Novel mouse model for studying pancreatic cancer (大学院自然科学研究科(工学系)妹尾昌治教授)
Vol.35:Potential cause of Lafora disease revealed (大学院自然科学研究科(工学系)佐藤あやの准教授)
Vol.36:Overloading of protein localization triggers cellular defects (異分野融合先端研究コア 守屋央朗准教授)
Vol.37:Protein dosage compensation mechanism unraveled (異分野融合先端研究コア 守屋央朗准教授)
Vol.38:Bioengineered tooth restoration in a large mammal (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)窪木拓男教授)
Vol.39:Successful test of retinal prosthesis implanted in rats (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)松尾俊彦准教授、大学院自然科学研究科(工学系)内田哲也准教授)


<参考>
Okayama University e-Bulletin:http://www.okayama-u.ac.jp/user/kouhou/ebulletin/

【本件問い合わせ先】
広報・情報戦略室
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp

(17.05.24)


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