凝固因子活性検査第IX因子, congulation factor IX activity


臨床的意義
 
第IX因子は分子量約541kDaの1本鎖糖蛋白で、415アミノ酸よりなり、肝臓においてビタミンK依存的に生合成され、血液中に約5μg/ml存在する。第\因子遺伝子は、X染色体長腕上の末端側Xq26-27の間に存在し、全長約34kb、8つのexonより構成される。第\因子遺伝子はこのように性染色体上にあるため、この遺伝子に何らかの欠損、変異が起こると、男性において伴性劣性遺伝性の血友病Bを発症することになる。ヒトにおいては第IX因子遺伝子の全塩基配列が決定されており、他のビタミンK依存性因子(第II、VII、X、protein C、protein S)と類似した遺伝子構造をもつことが明らかとなっている。第IX因子は他の多くの凝固因子と同様、セリン酵素前駆体で活性化第XI因子(F.XIa)あるいは組織因子(tissue factor ; TF)-活性型第Z因子(F.VIIa)複合体による限定分解を受け、活性型第\因子となる。第\因子は、@内因凝固の中心的存在としてリン脂質、カルシウムイオン、F.VIIIaの存在下で第X因子の活性化に携わると同時に、A外因系凝固のTF-FVIIaによる活性化を受け、またF.VIIaを活性化する。第\因子は外因系凝固にかかわる凝固因子であるため、深部出血を主体とする出血傾向があり、APTTが延長している場合に検査を施行し、凝固不全の原因が第IX因子の低下によるものかを鑑別する目的で検査を行う。多くは血友病Bの診断に用いられる。

異常値を示す疾患
低値: 
血友病B、肝硬変、ビタミンK欠乏、DIC

測定機種:
 CS-5100(シスメックス株式会社)(平成26年3月24日より)

ACL TOP(三菱化学ヤトロン社)(平成18年1月10日より平成26年3月23日まで)
STA(ロシュ・ダイアグノスティック株)(平成18年1月9日まで)

基準値: 70%〜120%(平成26年3月24日より)(添付書引用)
65%以上(平成18年1月10日より平成26年3月23日まで)
70%以上(平成18年1月9日まで)


検体採取・測定条件

3.2%のクエン酸ナトリウム1に血液9の割合で採血し,転倒混和を5〜6回繰り返した後,すみやかに提出する。
・溶血すると不正確になるため注意が必要である。

関連項目

活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)
プロトロンビン時間(PT)
凝固因子活性検査 第VIII因子
循環抗凝血素

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