コリンエステラーゼ, ChE (cholinesterase )


概要

 ChEは、コリンエステルをコリンと有機酸に加水分解する酵素をいうが、血清、肝、膵などのChEは、アセチルコリンのほか種々のコリンエステルならびに非コリンエステルも水解する非特異酵素であり神経、筋肉、赤血球には、アセチル-β-メチルチオコリンに特異的に作用しアセチルコリンを至的な基質とするアセチルコリンエステラーゼが存在する。両エステラーゼともカルバミン酸誘導体により可逆的に阻害され、また各種の有機リン酸剤によって非可逆的阻害をうけピリジン-2-アドキシム-メチオタイドによって賦活化される。臨床検査で血清ChEという場合は、非特異的ChEのことである。血清中のChEは、肝で生成され、血中に供給され肝疾患とくに肝実質障害によって活性低下をおこし肝機能検査として重要である。低下ならびに回復は、肝実質障害およびその回復とよく平行するが急性または限局性肝疾患よりも慢性または瀰漫性肝疾患において著名である。胆道閉塞の有無にはほとんど影響されない。

高値を示す疾患: 脂肪肝、糖尿病、肥満、肝細胞癌、ネフローゼ症候群、甲状腺機能亢進症

低値を示す疾患: 肝硬変、慢性肝炎、劇症肝炎、有機リン中毒、遺伝性異型ChE血症

測定方法: P-ヒドロキシベンゾイルコリン基質法(JSCC標準化対応法)(平成18年7月18日より)
        
ジメトキシベンゾイルチオコリン法(平成18年7月14日まで)

測定機器: 日本電子BM8040(平成26年3月24日より
        日本電子BM2250(平成18年7月18日より平成26年3月20日まで)
        日立7350自動分析装置(平成18年7月14日まで)

測定試薬: セロテック(平成18年7月18日より)
        
シスメックス(平成18年7月14日まで)

基準範囲: 男 240〜486 U/L  女 201〜421 U/L (平成27年7月1日より共用基準範囲に変更)
        
168〜470 U/L  (平成18年7月18日より平成27年6月まで)
         104〜211 U/L  (相関:Y=1.156X-2.266  従来法:X)(平成6年9月から平成18年7月14日まで)
                
67〜219 U/L (平成6年8月まで)

相関
平成18年7月18日
X=旧機器、旧試薬
Y=新機器、新試薬
Y=1.96X-9.85 r=0.998  n=200


小児の基準値
 
小児期の年齢変化は、新生児期では成人の80〜90%の値で、生後1ヶ月では成人の125〜14%となりその後1歳までは変化がない。1歳からは徐々に減少し成人の値に近づく。

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

生理的変動
・新生児は、成人より低値だが数週後に増加しその後は成人値に低下する。
・ 女性は、月経前期および月経期に減少し妊娠時には低下する。

関連項目

AST(GOT)
ALT(GPT)
T-Bil
アルブミン(Alb)

急速な低下は、有機リン中毒。上昇した場合は、ネフローゼなどを疑い尿中アルブミン、尿沈渣、腎機能検査などを行う。

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