トリプシン, trypsin


測定法:EIA法(平成21年10月1日より) 

外注会社:BML(平成15年3月31日まで大塚)

臨床的意義
 トリプシンはキモトリプシン、エラスターゼなど他の膵の蛋白分解酵素と同様に、前酵素の形で膵腺房細胞で合成され、膵管から十二指腸に分泌され、活性化される。アミラーゼ、リパーゼなどの膵酵素と同様に、血中にも膵からの逸脱酵素として存在する。その存在様式の主たるものはトリプシノーゲン(Tgn)であり、活性化されたトリプシン(T)はα1アンチトリプシン(α1AT)あるいはα2マクログロブリン(α2M)と結合し、α1AT-Tあるいはα2M-Tの複合体を形成し、トリプシン単独では血中には存在しない。トリプシンの酵素活性による測定は膵液や十二指腸液では可能であるが、血中では阻害物質や類似活性酵素が共存するため、特異的測定は困難である。膵にはcationic trypsinとanionic trypsinが主に含まれ、正常ではほぼ2:1の比率である。トリプシンと関連する物質の測定としては、α2M-Tの低分子基質に対する残存活性がある。Tgnがトリプシンに活性化されると、血中ではα2M、α1ATなどの阻害物質と結合する。Tgnがトリプシンに活性化されるときにtrypsin activation peptide(TAP)が遊離される。このTAPを測定することによりTgnの活性化が起こったことがわかり、膵炎の重症化の推測も可能となる。

異常値を示す疾患
高値疾患: 急性膵炎、慢性膵炎、膵癌、膵嚢胞、膵嚢胞線維症、膵外傷、胆石症、胆道癌、乳頭炎、乳頭部癌、肝硬変、肝炎、穿孔性腹膜炎、腎不全

低値疾患: 慢性膵炎、膵癌、膵嚢胞線維症、糖尿病

基準範囲 : 100〜550 ng/mL(平成21年10月1日よりEIA法に変更) 
        
100〜500 ng/mL(平成12年4月1日から平成21年9月30日までRIA法)  
         100〜550 ng/mL(平成12年3月31日までOML)

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

膵外分泌機能試験
耐糖能試験
尿素窒素(UN)
クレアチニン(CRTN)
AMY
リパーゼ
キモトリプシン
エラスターゼ

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