ハプトグロビン, Hp(haptoglobin) 

臨床的意義
 
ハプトグロビン(Hp)は肝実質細胞やリンパ節などの成熟顆粒白血球(特に好酸球)で生合成される。その生理的機能は、溶血により生じた酸化ヘモグロビン(Hb/H2O2)を結合してHp-Hb複合体を形成し、細網内皮系細胞の受容体を介して速やかに取り込まれ分解処理される。この機構によりHb/H2O2の酸化的血管障害毒性を中和すると同時に、腎糸球体からのHbの喪失を防止する作用を発揮する。Hpの半減期は3.5〜5日であるが、Hp-Hb複合体の半減期は10〜30分ときわめて短時間である。Hpの代償的産生は迅速には行われないので、Hbの血中への移行が持続すると血清Hpは欠損するが、急性期反応蛋白としての特性を有し、感染、炎症、組織崩壊、悪性腫瘍などでは肝臓以外の異所性産生(特に好酸球)による血清Hpの著しい増加を認める。

異常値を示す疾患
高値疾患: 
好酸球増加症、ネフローゼ症候群、悪性腫瘍、亜急性甲状腺炎、外傷、急性活動性肺炎

低値疾患: 溶血性疾患群、外傷性ヘモグロビン尿症、アルコール性肝炎、アルコール性肝硬変

測定方法: 免疫比濁

測定機器:  日本電子BM6050(平成26年3月24日より)

日本電子BM1650(平成18年7月18日より)

        日立7070自動分析装置(平成18年7月14日まで)

測定試薬: 日東紡績

基準値: 17〜169 mg/dL
      
(40〜270mg/dl平成10年1月まで)

相関
平成18年7月18日
X=旧機器
Y=新機器
Y=0.943X+2.38 r=0.99  n=200

平成10年1月
X=旧試薬
Y=現試薬
Y=0.593X-2.87  r=0.997

小児の基準値

 一般に正常域は広い。新生児では低値であるが幼児期まで比較的高い。男女差は認められない。ハプトグロビンの血清型の頻度は1-1、2-2、2-1がそれぞれ、5.7%、33.3%、49.3%で、値は50mg以下の低ハプトグロビン血症の比率は2-2で26%ともっとも低く、1-1、5%で2-1は5.6%であった。成人の基準値でも2-2型でもっとも低い。

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

α1AG
α1−アンチトリプシン
アルブミン(Alb)
トランスフェリン(Tf)
C3
IgG(Immune globulin G)

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