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Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.45 発行

 本学は10月30日、本学の強みである医療系分野の研究成果について、革新的な基礎研究や臨床現場、医療産業等に結びつく成果を英語で情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.45を発行しました。
 2012年より本学では、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者等にニュースやトピックスを交えて配信し、本学の海外への情報発信を強化と国際的知名度の向上などを推進しています。
 OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、強みある医療系分野の更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。
 本号では、大学院医歯薬学総合研究科(医学系)組織機能修復学分野の宝田剛志准教授らの、体内時計が血液脳関門の維持に重要であることを発見について取り上げています。
 宝田准教授らの研究グループは、体内時計システムの構成因子の欠失が、脳血管周囲に存在する「ペリサイト」の機能破綻を起こすことで、血液脳関門の恒常性維持機能を減弱させることを見出しました。
 睡眠・覚醒リズムや、成長ホルモン分泌のタイミングなどに代表されるように、多くの生命現象は約24時間周期のリズム(概日リズム)を刻みます。これらのリズムは、ほぼ全ての生物が体の中に備えている体内時計と呼ばれるシステムによって生み出されています。体内時計を動かしているのは、時計の部品ともいえる「時計遺伝子」と呼ばれる遺伝子産物の活性のリズムであることが知られています。
 一方で、いくつかの中枢神経疾患、例えば、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患や、うつ病や統合失調症等の精神疾患では、睡眠障害を合併することが多く知られています。このようなことから、中枢神経疾患(脳の恒常性維持機能の破綻)と、体内時計システムの障害との間には関連性が指摘されていましたが、因果関係を含め、その実態は不明でした。
 今回、体内時計システム構成因子の欠失が、ペリサイトの機能破綻を招くことで血液脳関門の恒常性維持機能を減弱させることが明らかとなりました。体内時計システム構成因子と脳血管恒常性維持の関連性を見出した今回の研究成果は、中枢神経疾患の病態解明に重要な知見となると考えられます。特に、神経変性疾患であるアルツハイマー病では、血液脳関門の破綻やペリサイトの機能異常が報告されています。今後、時計遺伝子によるペリサイト制御メカニズムを明らかにすることで、新たな治療薬や治療方法の開発につながることが期待されます。
 本学は、平成25年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進していきます。また、強みある医療系分野から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術として、より早く届けられるように研究開発を推進していきます。
 なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.45:Link between biological-clock disturbance and brain dysfunction uncovered

<Back Issues:Vol.38~Vol.44>
Vol.38:Bioengineered tooth restoration in a large mammal (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)窪木拓男教授)
Vol.39:Successful test of retinal prosthesis implanted in rats (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)松尾俊彦准教授、大学院自然科学研究科(工学系)内田哲也准教授)
Vol.40:Antibodies prolong seizure latency in epileptic mice (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)西堀正洋教授)
Vol.41:Inorganic biomaterials for soft-tissue adhesion (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)松本卓也教授)
Vol.42:Potential drug for treating chronic pain with few side effects (自然生命科学研究支援センター 宮地孝明准教授)
Vol.43:Potential origin of cancer-associated cells revealed (大学院自然科学研究科(工学系) 妹尾昌治教授)
Vol.44:Protection from plant extracts (中性子医療研究センター小野俊朗教授)

<参考>
Okayama University e-Bulletin://www.okayama-u.ac.jp/user/kouhou/ebulletin/

【本件問い合わせ先】
広報・情報戦略室
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp

(17.11.02)



本号で紹介した研究成果を担当した宝田剛志准教授


国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています