国立大学法人 岡山大学

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大学院教育学研究科の寺澤教授が「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期 ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」に採択

2019年01月16日

 本学大学院教育学研究科の寺澤孝文教授が12月4日、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が進める科学技術イノベーションを実現するためのプログラム「戦略的イノベーション創造プログラム」(Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program;SIP)の第2期の課題のひとつである「ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」(管理法人:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO))に採択されました。
 同事業は、人間中心の社会であるSociety5.0※1実現のための核となる技術である「サイバー空間基盤技術」を取り扱います。特に、人とAI(人工知能)の協働に寄与する高度に洗練された「ヒューマン・インタラクション基盤技術」、「分野間データ連携基盤技術」、「AI間連携基盤技術」を確立することで、ビッグデータ・AIを活用したサイバー・フィジカル・システム(CPS)※2の社会実装を目指すものです。
 今回、寺澤教授は同事業の「学習支援技術」の研究開発項目で、「高精度教育ビッグデータをベースとした教育支援の公教育への導入推進」(実施期間:2018~2022年度)という題目のもと研究開発責任者を務め、参画する自治体や企業などとともに成果の社会実装を行います。
 この研究開発は、寺澤教授が開発した「マイクロステップ・スケジューリング法」という新しい技術によって収集された大量の学習データ(高精度教育ビッグデータ)から、これまで意識できなかった、わずかな学習の効果の積み重ねを個人ごとに可視化し、それを個別にフィードバックする技術を基盤にしています。これにより、学習者の実力の変動を正確に推定することも可能になります。例えば、実力レベルで習得されたと判定される問題を学習から外すことで、実効性を持つテーラーメイドの個別学習を提供することも可能になります。今回、マイクロステップ・スケジューリング法により収集される高精度教育ビッグデータを活用した教育支援を大規模に社会実装することにより、従来のテスト技術では可視化できなかった微細な学習効果の積み重ねや学習者の意識変動を描き出し、フィードバックすることで、学習者の学習意欲と成績の確実な向上を目指します。
 今回の採択を受けて寺澤教授は、「子どもは、自身の成績の上昇を目の当たりにし、見通しを手に入れることで、勉強を続けよう、やり遂げようと意識するようになります。教師や保護者の指導力が向上することも間違いありません。また、英単語などの学習効率を大きく上げる方法も見えてきました。このような情報を手にする子とできない子の格差が広がることが一番気になります。その意味で一日も早く新しい教育支援を広げていきたい」とコメント。今後の研究開発に意欲を見せました。
 Society5.0を支える技術開発を本学発の革新的技術で支えつつ、寺澤教授らが展開する社会実装により、学習に関わる全ての人がポジティブな方向に向くようなパラダイムシフトを起こせるように本事業を強力に推進していきます。


※1  Society5.0
多様なニーズと潜在的なニーズにきめ細かく対応したモノやサービスを提供することで、人々が快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる人間中心の社会です。Society 5.0では、フィジカル空間のセンサーからの膨大な情報がサイバー空間に集積され、サイバー空間では、このビッグデータをAIが解析し、その解析結果がフィジカル空間の人間にさまざまな形でフィードバックされることで、新たな価値が産業や社会にもたらされることになります。
https://www.gov-online.go.jp/cam/s5/

※2 サイバー・フィジカル・システム(Cyber Physical System;CPS)
実世界で起こるさまざまな出来事を、各種センサーなどを介してITの世界に取り込み、適切に処理を行うことで、実世界をより高度に、快適に、そして便利にするシステムのことです。


<参考>
岡山大学プレスリリース「教育ビッグデータを活用したeラーニングで、児童の意欲を劇的かつ確実に向上させられることを世界で初めて実証-意欲低位層を軒並み平均レベルに上げられる-」(2018年9月27日)


【本件問い合わせ先】
大学院教育学研究科 教授 寺澤孝文
TEL:086-251-7714
https://edu.okayama-u.ac.jp/~shinri/terasawa/index.html

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