国立大学法人 岡山大学

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遺伝子を操作する“人工転写因子”でがんの増殖を阻害~がんの増殖を担う遺伝情報を読めないようにする革新的技術を開発~

2017年10月27日

 岡山大学大学院自然科学研究科(工)生体機能分子設計学研究室の世良貴史教授、森友明特任助教らの研究グループは、川崎医科大学の猶本良夫教授、深澤拓也准教授との共同研究により、がんの遺伝情報のひとつである「がん増殖遺伝子」を読めなくする、テーラーメイドの人工タンパク質『人工転写因子』の開発に世界で初めて成功しました。この人工転写因子は、世良教授が開発した、標的のがん増殖遺伝子に特異的に結合する人工DNA結合タンパク質に、遺伝子を読めないようにするタンパク質を融合させた人工タンパク質です。本研究成果は10月5日、がん治療分野の総合科学雑誌「Oncotarget」のオンライン版に公開されました。
 本研究では、デザインした人工転写因子を用いて、肺がんと食道がんで高発現し、がん化を促進する「SOX2遺伝子」の発現を効果的に抑制できることを細胞レベルだけでなく、動物レベルでも確認しました。この手法は、ほかのがん関連遺伝子に適応可能であり、それらの遺伝子の働きによるさまざまながんの予防や創薬への応用が期待されます。また、本技術は、がん関連遺伝子だけではなく、あらゆる疾患関連遺伝子にも応用が可能であるため、革新的な技術として私たちの生活に大きく役立つことが期待されます。

図.肺がんおよび食道がんの原因遺伝子であるSOX2の発現を抑制できる「人工転写因子」を作製。その人工転写因子遺伝子を導入することにより、がん原因遺伝子の発現を抑えることでがんの誘発に働くタンパク質の産生が抑えられ、がんは増殖することができない。また、人工DNA結合タンパク質を換えることにより、あらゆる疾患の予防・治療にも応用することが可能である!


【論文情報】タイトル:Targeted silencing of SOX2 by an artificial transcription factor showed antitumor effect in lung and esophageal squamous cell carcinoma著  者:Etsuko Yokota, Tomoki Yamatsuji, Munenori Takaoka, Minoru Haisa, Nagio Takigawa, Noriko Miyake, Tomoko Ikeda, Tomoaki Mori, Serika Ohno, Takashi Sera*, Takuya Fukazawa*, Yoshio Naomoto
掲 載 誌:Oncotarget
掲 載 号:Volume 8, (No.61), Pages 103063-103076
DOI:https://doi.org/10.18632/oncotarget.21523

 発表論文はこちらからご確認いただけます。


<詳しい研究内容について>
遺伝子を操作する“人工転写因子”でがんの増殖を阻害~がんの増殖を担う遺伝情報を読めないようにする革新的技術を開発~

<お問い合わせ>
岡山大学大学院自然科学研究科(工学系) 生体機能分子設計学研究室
教授 世良 貴史
(電話番号)086-251-8194
(FAX番号) 086-251-8194
//www.okayama-u.ac.jp/user/seralab/index.html

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