国立大学法人 岡山大学

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Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.107 発行

2022年11月09日

 本学は11月9日、岡山大学の強みのひとつである医療系分野の研究開発の成果について、革新的な技術に橋渡すことのできる基礎研究や臨床現場、医療イノベーションなどに結びつく成果などを英語で世界の一般のみなさんなどに届けるWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.107を発行しました。
 本号では、学術研究院医歯薬学域(医)疫学・衛生学分野の頼藤貴志教授、松本尚美昌助教岡山大学病院総合内科・総合診療科の萩谷英大准教授岡山大学保健管理センターの樋口千草助教の共同研究グループの「武田/モデルナ社製新型コロナウイルスワクチン追加接種(3回目接種)後発熱と抗体価の関連についての報告」の研究成果を紹介しています。
 今回、頼藤教授らは岡山大学の学生および教員を対象に、武田/モデルナ社製新型コロナワクチン追加接種(3回目接種)後の発熱の有無によって、接種後早期のIgG抗体価の推移に違いがあるかどうかを比較しました。ワクチン接種により上昇するS-RBD IgG抗体は、新型コロナウイルスに対する中和活性とよく関係し、感染や重症化を防ぎます。本研究は、2022年3月に岡山大学で武田/モデルナ社製新型コロナワクチンの3回目接種を受けた大学教員、職員、学生のうち、研究参加へ同意した計49人を対象に行われました。接種後1週間の副反応を聴取するとともに、接種直前、3日後、1週間後、1カ月後に指先全血サンプリングでS-RBD IgG抗体価を測定しました。
 少なくとも2回の採血を行った47人(発熱群24人、非発熱群23人)のデータを解析したところ、接種後発熱群では、ワクチン接種後1週間のIgG抗体価の上昇が有意に早くなっていました。一方で、ワクチン接種後の発熱の有無は、接種1カ月後の任意のカットオフ値(25000 IU/mL)以上のIgG抗体価上昇とは関連を認めませんでした。このことから、接種後発熱がある群では接種後早期の抗体価の上昇が早いものの、臨床的な意義は低いと考えられました。
 本研究報告は、巷に流布する疑問に一定の見解を与えるものと思われます。
 岡山大学は、2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示すリサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学を構築し、「岡山から世界に新たな価値を創造し続けるSDGs推進研究大学」となるため、強みある医療系分野やその関係する分野の国際的な情報発信を力強く推進しています。今後も本学から生み出される成果を産学官民共創のオープンイノベーションの加速や社会、医療現場やヘルスケアに活かせる革新的技術、健康維持増進により早く届けられるように研究開発を推進していきます。
 なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.107:COVID-19 mRNA vaccines and fever: A possible new link.

○Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)
2012年より岡山大学では、研究成果や知的財産、技術移転活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行して来ました。またAAAS(American Association for the Advancement of Science)が提供する、世界最大規模のオンラインニュースサービス「EurekAlert!」を利用し、世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者などにニュースやトピックスを交えて配信し、岡山大学の海外への情報発信の強化と国際的知名度の向上などを推進しています。
OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。


<OU-MRU Back Issues:Vol.99~Vol.106>
Vol.99:A rapid flow process that can convert droplets into multilayer polymeric microcapsules (学術研究院自然科学学域(工)渡邉貴一研究准教授)
Vol.100:Understanding insect leg regeneration (学術研究院医歯薬学域(医)板東哲哉講師)
Vol.101:Oral tumor progression mechanism identified (学術研究院医歯薬学域(歯)河合穂高助教)
Vol.102:Controlled cell death by irradiation with light (学術研究院医歯薬学域(薬)須藤雄気教授)
Vol.103:High-quality growth (学術研究院自然科学学域(工)鈴木弘朗助教)
Vol.104:The determinants of persistent and severe COVID-19 revealed (異分野基礎科学研究所 墨智成准教授)
Vol.105:The dynamics of skin regeneration revealed (本学異分野融合先端研究コア 佐藤伸准教授)
Vol.106:The skin electrically modelled (学術研究院保健学域 中村隆夫教授)


<参考>
「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」バックナンバー
岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」


【本件問い合わせ先】
総務・企画部広報課
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm◎adm.okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。

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