本学は12月6日、徳島県三好市にて、内閣府「地域中核大学イノベーション創出環境強化事業」の一環として、耕作放棄地の再生と自然共生型の地域づくりに挑戦する「おかやまシネコカルチャー(協生農法)プロジェクト」(津島キャンパスおよび新見市で実証中)の活動をさらに地域へ広げる取り組みとして、一般社団法人シネコカルチャーと本学による講演会および畝立てワークショップを開催しました。
三好市は世界農業遺産に認定された美しい棚田の景観を有し、かつて豊かな農業文化が息づいていました。しかし、現在では多くの耕作地が小規模に分散し手入れが行き届きにくい状況であり、その再生が地域の大きな課題となっています。一枚一枚の耕作面積が小さいことは、多種多様な作物を組み合わせて育てるシネコカルチャー(Synecoculture/協生農法)との親和性が高いと考えられ、本取り組みにつながった経緯があります。また、みかん畑の樹冠下で葉物野菜などを栽培できないかといった地元のニーズも、出発点となりました。今回のワークショップは、本学の取り組みに関心を寄せていただいた株式会社MOAIとの共同で企画したものです。同社は、エネルギー×資源循環に特化した技術開発を核に、日本から世界へ持続可能なビジネスモデルの構築を目指しており、地域資源活用の新たなモデルづくりに向けて本連携が実現しました。
当日は、本学から経済学部・農学部の学生、産学官連携コーディネーター、研究者、事務職員に加え、新見市でシネコカルチャー活動を牽引する地域おこし協力隊のメンバーも参加。現地からは、三好市内の農家、地域住民、デザイナーなど約30人が参加し、世代や地域、立場を超えた協働の場が実現しました。
冒頭、一般社団法人シネコカルチャーの岡本覚氏がシネコカルチャー(Synecoculture/協生農法)の理念について講演し、生態系の多様性が循環し続ける環境を育むことの重要性を説明しました。参加者からは多数の質問が寄せられ、地域ならではの疑問や実装を見据えた議論が交わされました。続いて、本学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部の舩倉隆央副本部長が「おかやまシネコカルチャープロジェクト」を紹介し、岡山で始まった取り組みが全国から関心を集め、継続的なネットワーク拡大につながっていることを強調しました。
畝立てワークショップでは、棚田の一角に畝を一つ整備し、ビワとブルーベリーを中心に、周囲へ葉物野菜を植え込む作業を共同で実施しました。小さな一歩ではありますが、三好市における協生農法の実証開始の力強いスタートとなりました。岡山から新見、そして三好へと、シネコカルチャーの輪が確実に広がり、自然共生型社会を志向する人々の連携が新たな地域価値を生み始めています。
本学は今後も、一般社団法人シネコカルチャーおよび自治体・企業・地域団体と連携しながら、三好市の棚田を舞台とした取り組みを本格化させ、自然共生と地域文化の再生を両立する社会実装モデルの構築を目指します。シネコカルチャーを通じた地域共創の輪をさらに国内外へ広げ、持続可能な未来に向けた新たな共創のかたちを探求していきます。
【参考】
拡張生態系とSynecoculture(Sony CSL)
※「協生農法®」は株式会社桜自然塾の登録商標
※「Synecoculture™」はソニーグループ株式会社の商標
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【本件問い合わせ先】
研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部 舩倉
TEL:086-251-7151
Email: co-creation◎adm.okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。
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2025年12月16日