本学では、「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」のもと、先端分析計測設備や研究基盤設備の整備・共用化を推進しています。中四国地域で初めて導入したクライオ電子顕微鏡「KriosG4」やクライオ電子線トモグラフィー用FIB-SEM装置「Arctis」を学内外に広く開放し、他機関との連携や研究ネットワークの強化を進めています。このような取り組みの一環として、7月11日、第43回分子病理学研究会「晴れの国シンポジウム」・本学J-PEAKS共催講演会「クライオ電子顕微鏡を活用した新たな生化学・分子生物学の最前線」が開催されました。講演会は鹿田キャンパス歯学部棟4階拡大講義室を会場に、対面およびオンラインによるハイブリッド形式で開催され、対面86人、オンライン15人の計101人(13大学)が参加しました。
開催にあたり、第43回分子病理学研究会大会長を務める本学学術研究院医歯薬学域(歯)の岡村裕彦教授より開会のあいさつがありました。まず、暑い中、全国から岡山へ来場された参加者をねぎらうとともに、本研究会にかける思いや期待が述べられました。
特別講演のため招聘された3題のうち最初の講演は、本学学術研究院先鋭研究領域(異分野基礎科学)の沼本修孝准教授に「岡山大学クライオ電子顕微鏡の概要」と題して、ご講演いただきました。国際構造生物学研究センターで共同利用を開始したクライオ電子顕微鏡「Thermo Scientific Krios G4」や、クライオプラズマFIB-SEM「Thermo Scientific Arctis」の紹介とともに、単粒子解析やクライオ電子線トモグラフィ―(cryo-ET)を用いた最先端の研究環境についての説明がありました。学内だけでなく学外の大学・研究機関・企業にも広く開放されている研究基盤であることが紹介され、クライオ電子顕微鏡の活用や共同利用の取り組みについて理解を深める機会となりました。
続いて、学術研究院医歯薬学域(医)の成瀬恵治教授の紹介により、北海道大学大学院薬学研究院創薬科学部門の前仲勝実教授から、「北海道大学創薬センターにおけるクライオ電顕拠点の現状とcryo-ETを中心とした国内連携への期待」と題した講演が行われました。北海道大学創薬研究教育センターにおける創薬支援体制や、AMED事業などを通じた全国的な研究連携、さらにクライオ電子顕微鏡を活用した新型コロナウイルスの構造解析や治療薬・ワクチン開発への貢献について紹介されました。また、本学や東京大学をはじめとする国内の電顕研究拠点との連携の重要性や、今後の研究展開への展望が示されました。
最後は、学術研究院先鋭研究領域(異分野基礎)沈建仁教授によるご紹介により、東京大学大学院医学系研究科 生体構造学分野の吉川雅英教授の講演、「クライオ電子線トモグラフィーによる『ビジュアルプロテオミックス』」が行われました。クライオ電子トモグラフィーの技術的進歩や、高速データ収集法「PACEtomo」を活用した高分解能解析、さらに細胞内でのタンパク質を形態から理解する「ビジュアルプロテオミックス」の可能性について紹介されました。繊毛の構造解析を例に最新の研究成果が分かりやすく解説され、講演後には参加者から多くの質問が寄せられ、活発な議論が展開されました。
本講演会においては、構造生物学・分子生物学分野での最先端研究が紹介されるとともに、クライオ電子顕微鏡の活用の可能性や研究設備の共同利用、国内研究機関との連携による今後の発展について理解を深める機会となりました。参加者にとって、最先端の研究動向や研究基盤整備の重要性を共有する貴重な講演会となりました。
<参考>
・文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
・異分野基礎科学研究所国際構造生物学研究センター
・クライオ電子顕微鏡「KriosG4」を中四国地域に初導入!
・クライオトモグラフィー用クライオプラズマFIB-SEM装置「Arctis」を西日本に初導入
・コアファシリティポータルの「クライオ電子顕微鏡「kriosG4」(300kV)の装置概要、予約、依頼測定の申し込みはこちら
・コアファシリティポータルの「クライオトモグラフィー用クライオプラズマFIB-SEM装置「Arctis」」の装置概要、予約、依頼測定の申込はこちら
・研究設備機器共用システムCFPOU(Core Facility Portal , Okayama University)
・クライオ電子顕微鏡による単粒子解析法のハンズオントレーニング講習会を開催
・クライオ電子線トモグラフィーによる細胞内タンパク質のin situ構造解析法のハンズオントレーニング講習会を開催
【本件問い合わせ先】
岡山大学異分野基礎科学研究所
国際構造生物学研究センター長
沈 建仁 教授
TEL:086-251-8502
E-mail: shen◎okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。
クライオ電子顕微鏡を活用した新たな生化学・分子生物学の最前線~第43回分子病理学研究会、本学J-PEAKS共催講演会~
2026年08月07日