文部科学省が実施する令和8年度「AI for Scienceによる科学研究革新プログラム AI for Science萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)」において、本学から第1回公募で5課題、第2回公募で15課題の計20課題が採択されました。
SPReAD(Supporting Pioneering Research through AI for 1,000 Discovery challenges)は、AI for Scienceを研究現場に広く波及・振興させることを目的として文部科学省が実施する事業です。人文学・社会科学から自然科学まで、あらゆる分野の研究者等がAIを利活用して科学研究の高度化・加速化を図ることで、我が国独自の競争優位につながる新たな研究の種や芽を創出することを目指しています。
本事業では、AI利活用の経験が少ない研究者を含めた幅広い研究者等による挑戦を後押しするため、「迅速な支援」、「AI導入に必要な伴走支援」、「独創的研究の芽出し支援」の3つを柱として、研究資金の支援に加え、AI利活用に関する伴走支援や研究者コミュニティの形成などが行われます。
今回のSPReADには全国から多数の応募があり、第1回公募では15,868件の応募に対して456件(採択割合2.9%)、第2回公募では17,914件の応募に対して656件(同3.7%)が採択されました。本学からも多くの研究者がAI for Scienceを活用した新たな研究に挑戦しており、第1回公募では266件の応募から5件、第2回公募では378件の応募から15件が採択されました。特に、第2回公募における本学の応募件数は全国の研究機関の中で10番目に多く、幅広い研究分野においてAIを活用し、新たな研究の可能性を切り拓こうとする機運が高まっています。
本学は、岡山大学長期ビジョン2050「地域と地球の未来を共創し、世界の革新に寄与する研究大学」の実現に向け、文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」や「先端研究基盤刷新事業(EPOCH)」などの事業を通じて、研究力・イノベーション創出力の強化を進めています。また先端科学技術の研究開発だけではなく、社会実施や対話等の普及活動等も実施しています。今回のSPReADを契機として、AIと各研究分野との融合をさらに促進するとともに、学生や教職員がAIを積極的に活用して新たな研究課題に挑戦できる研究環境の整備や支援を進め、AI for Scienceによる研究の高度化・加速化を一層推進していきます。引き続き、開かれた地域中核・特色ある研究大学:岡山大学の取り組みにご期待ください。
〇那須保友学長のコメント
AI for Scienceの波は、私たち高等教育機関のみならず、人類全体に大きな影響を与えるものと感じています。科学を推進する時、人とAIの組み合わせで実施するというのが既に当たり前となっている時代において、今回のSPReADをはじめとした事業でさらに加速すると思います。他方で心理的な面も含めた安全性や科学的な正しさの検証など、課題もあります。研究開発の根幹を支える一つの組織である私たちは、事業を推進するとともにAIマネジメントにもしっかりと注力していく必要があると思います。どうぞ、事業採択者の活動と本学の取り組みにご期待ください。
<本学からの採択者>
第1回
・井上博文 臨床検査技師(岡山大学病院医療技術部(検査部門))
「肺癌病理画像からの核酸収量対応データセットの構築―核酸収量予測AI導入基盤の創出―」
・牛島幸一郎 教授(学術研究院環境生命自然科学学域(農))
「塩基修飾パターンの深層学習解析による植物セントロメア構造の種間比較と6mA谷構造の検証」
・戸田 雄一郎 准教授(学術研究院環境生命自然科学学域(工))
「ロボット身体性に応じた3次元点群疑似ラベル生成とトポロジカルクラスタリング設計支援」
・中川博之 教授(学術研究院環境生命自然科学学域(工))
「役割特化型多体LLMエージェントによる意思決定の臨界点を捉える初学者リフレクション」
・渡部 憲 大学院生(大学院環境生命自然科学研究科(博士前期課程))
「プロセスモデルと深層学習の融合による低遅延かつ高精度なリアルタイム業務プロセス予測手法の開発」
第2回
・本郷貴識 助教(特任)(学術研究院医歯薬学域(医))
「全国熱中症レジストリを用いた機械学習による熱中症フェノタイプ解析と予後評価」
・大原利章 研究准教授(学術研究院医歯薬学域(医))
「デジタルパソロジーにおけるドメインシフト克服:AIによる「隠れたZ軸」推論とデータ駆動型病理学の創出」
・大西康博 助教(特任)学術研究院医歯薬学域(医)
「生成AI対話システムを用いた肥満症減量期における身体活動支援の実装可能性検証」
・久野 裕 教授(学術研究院先鋭研究領域(資源植物科学研究所))
「AI駆動型モデルによる大規模染色体構造変異の設計と育種応用」
・金 俊植 准教授(特任)(学術研究院先鋭研究領域(資源植物科学研究所))
「見過ごされた実験変数(ダークデータ)の受動的記録と相関解析—オンプレミスAIによる持続的研究資産の形成」
・最相大輔 准教授(学術研究院先鋭研究領域(資源植物科学研究所))
「農業開発史の「データ化」による育種履歴の再構築:視覚言語モデルを用いた大規模歴史資料からゲノム情報への橋渡し」
・吉葉恭行 教授(学術研究院ヘルスシステム統合科学学域)
「歴史文書群のデジタル画像化とAIによる高精度テキスト化・テキストマイニング分析法の開発」
・大塚里美 助教(学術研究院ヘルスシステム統合科学学域)
「AIを用いた人工Ca2+依存性キナーゼの合理的設計法の確立」
・岡本隆一 准教授(学術研究院先鋭研究領域(異分野基礎科学研究所))
「AIを活用したイオン特異効果の横断的理解と潜在構造抽出」
・宮本祐樹 講師(特任)(学術研究院先鋭研究領域(異分野基礎科学研究所)
「高分解能スペクトルにおける多峰性問題の克服とAI支援分子構造決定」
・森 恵子 教授(学術研究院保健学域)
「AIによる災害時意思決定プロセスの解明と個別最適化学習モデルの概念実証」
・石野宏和 教授(学術研究院環境生命自然科学学域(理))
「複雑系科学衛星システム設計・管理のAI統合ソフトウェア開発ーLiteBIRDを例として」
・久保田高明 教授(学術研究院医歯薬学域(薬))
「AIによる希少天然化合物の標的非依存型生物活性予測」
・岡村裕彦 教授(学術研究院医歯薬学域(歯))
「骨芽細胞培養初期の位相差顕微鏡形態画像による石灰化能AI予測システムの構築」
・安井雄一 医員(岡山大学病院消化管外科)
「働き方改革下の消化器外科におけるマルチモーダル生成AIを用いた術後管理補助システムの開発と検証」
<参考>
・文部科学省「AI for Science萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)」ホームページ
・第1回公募 採択課題一覧
・第2回公募 採択課題一覧
【本件問い合わせ先】
岡山大学 研究・イノベーション共創管理統括部研究協力課
TEL:086-251-8705
E-mail:aiforscience◎adm.okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。
文部科学省「AI for Science萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)」に本学から20課題が採択~AI for Scienceを活用した研究力強化を一層推進~
2026年09月08日