国立大学法人 岡山大学

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Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.52 発行

2018年03月30日

 本学は3月27日、本学の強みである医療系分野の研究成果について、革新的な基礎研究や臨床現場、医療産業等に結びつく成果を英語で情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.52を発行しました。
 2012年より本学では、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者等にニュースやトピックスを交えて配信し、本学の海外への情報発信を強化と国際的知名度の向上などを推進しています。
 OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、強みある医療系分野の更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。
 本号では、大学院保健学研究科検査技術科学分野生体情報科学領域の廣畑聡教授らの、がん微小環境に関する新たな発見である、宿主由来細胞外マトリックスが腫瘍の成長を促進することを明らかにした研究成果について紹介しています。
 廣畑教授、それに本学大学院医歯薬学総合研究科分子医化学分野の大橋俊孝教授、浅野恵一大学院生らの国際共同研究グループは、がん微小環境において、がん細胞ではなく周囲の宿主由来の細胞がたんぱく質の一種「バーシカン」を発現することで血管新生を促進し、がんの成長を促進していることを発見しました。今回の研究では、がん組織の中に周囲から自身の細胞が入り込んでバーシカンを分泌することに加えて、分解産物はその分布が変化(再配置)することが明らかとなりました。
 この研究成果は、がん細胞以外の細胞を含んだ『がん微小環境』の重要性を示しています。つまり、がん細胞のみならず宿主の細胞が腫瘍成長を促進する役割を担っていることを示しており、今後のがん治療に新たな課題を提示しているといえます。さらに、これからのがん治療を考える上で、がん細胞自身に対する直接的な治療でなく免疫チェックポイント薬のような新たな治療戦略の開発が重要となってくることを示しています。
 本学は、平成25年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進していきます。また、強みある医療系分野から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術として、より早く届けられるように研究開発を推進していきます。
 なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.52:A protein found on the surface of cells plays an integral role in tumor growth and sustenance


<Back Issues:Vol.44~Vol.51>
Vol.44:Protection from plant extracts (中性子医療研究センター 小野俊朗教授)
Vol.45:Link between biological-clock disturbance and brain dysfunction uncovered (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)宝田剛志准教授)
Vol.46:New method for suppressing lung cancer oncogene (大学院自然科学研究科(工学系) 世良貴史教授)
Vol.47:Candidate genes for eye misalignment identified (大学院医歯薬学総合研究科(医学系) 松尾俊彦准教授)
Vol.48:Nanotechnology-based approach to cancer virotherapy (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)藤原俊義教授)
Vol.49:Cell membrane as material for bone formation (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)松本卓也教授)
Vol.50:Iron removal as a potential cancer therapy (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)大原利章助教)
Vol.51:Potential of 3D nanoenvironments for experimental cancer (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)江口傑徳助教)


<参考>
Okayama University e-Bulletin://www.okayama-u.ac.jp/user/kouhou/ebulletin/

【本件問い合わせ先】
広報・情報戦略室
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp

(18.03.30)


本号で紹介した研究成果を担当した廣畑聡教授

国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。
また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています

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