国立大学法人 岡山大学

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Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.84 発行

2020年11月27日

 本学は11月27日、岡山大学の強みのひとつである医療系分野の研究開発の成果について、革新的な技術に橋渡すことのできる基礎研究や臨床現場、医療イノベーションなどに結びつく成果などを英語で世界に情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.84を発行しました。
 2012年より岡山大学では、研究成果や知的財産、技術移転活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行して来ました。またAAAS(American Association for the Advancement of Science)が提供する、世界最大規模のオンラインニュースサービス「EurekAlert!」を利用し、世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者などにニュースやトピックスを交えて配信し、岡山大学の海外への情報発信の強化と国際的知名度の向上などを推進しています。
 OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。
 本号では、大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)分子生物学分野の垣内力教授らの大腸菌が遺伝子変異により病原性を獲得する過程を明らかにした研究成果について紹介しています。
 これまで病原性を持たない細菌が病原性を持つ細菌へと進化するメカニズムは明らかになっていませんでした。垣内教授らは、昆虫であるカイコを用いて感染実験を繰り返すことにより、病原性を持たない大腸菌から病原性を持つ大腸菌を得ました。病原性を持つ大腸菌のゲノム解析を行うことにより、病原性獲得の原因となる遺伝子変異を特定しました。また、遺伝子変異により、大腸菌は宿主動物の免疫に対して抵抗することが判明しました。
 この遺伝子変異は患者から分離された大腸菌にも見出されたことから、自然界においても病原性細菌の進化が起きていると推察されます。また、本研究が確立した病原性細菌の進化実験系は、病原性細菌の進化予測や病原性細菌の出現を抑える薬の開発に役立つと期待されます。
 岡山大学は、2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示すリサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学を構築し、「岡山から世界に新たな価値を創造し続けるSDGs推進研究大学」となるため、強みある医療系分野などの国際的な情報発信を力強く推進しています。今後も本学から生み出される成果を産学官民共創のオープンイノベーションの加速や社会、医療現場が求める革新的技術、健康維持増進により早く届けられるように研究開発を推進していきます。
 なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.84:Friend to Foe — When Harmless Bacteria Turn Toxic.


<Back Issues:Vol.76~Vol.83>
Vol.76:The molecular pathogenesis of muscular dystrophy-associated cardiomyopathy (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)片野坂友紀講師)
Vol.77:Green leafy vegetables contain a compound which can fight cancer cells (大学院環境生命科学研究科(農学系)中村宜督教授)
Vol.78:Disrupting blood supply to tumors as a new strategy to treat oral cancer  (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)河合穂高助教)
Vol.79:Novel blood-based markers to detect Alzheimer's disease  (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)阿部康二教授)
Vol.80:A novel 3D cell culture model sheds light on the mechanisms driving fibrosis in pancreatic cancer  (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 狩野光伸教授&大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)田中啓祥助教)
Vol.81:Innovative method for determining carcinogenicity of chemicals using iPS cells  (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 妹尾昌治教授&杜娟博士)
Vol.82:Making memories—the workings of a neuron revealed (異分野基礎科学研究所 墨智成准教授)
Vol.83:Skipping a beat — a novel method to study heart attacks (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)高橋賢研究准教授)


<参考>
「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」バックナンバー
岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」


【本件問い合わせ先】
総務部 広報課
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp

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