蛋白分画, EP (protein fractionation)
臨床的意義
ヒト血清中の蛋白成分は100種類以上から構成されており,その機 能や性状はそれぞれの成分によって異なる。一般的に血清総蛋白量の変動には,量的に多いアルブミン や免疫グロブリンの増減が大きく影響し,他の各成分が影響を及ぼすことは少ない。したがっ て,各種の疾患や病態の把握には,それぞれの蛋白成分の特徴的な変動(量的,質的)を知るために血 清蛋白分画測定が必要である。分画はアルブミン,α1グロブリン,α2グロブリン,βグロブリン,γグ ロブリンの5つに分画される。また尿蛋白の約6割は血漿由来であり,残りは腎実 質および下部尿路由来であると考えられている。正常尿には総蛋白として1日40〜80mgが排泄さ れており,その上限は1日150mgである。蛋白尿の主なものは糸球体毛細血管壁の蛋白透過性の亢進であり 一部は尿細管における蛋白の再吸収や処理能の低下に起因する。
測定原理: 電気泳動法(アガロースゲル)(令和元年5月24日より)
電気泳動法(セルロースアセテート膜)(令和元年5月23日まで)
測定機器: エパライザ2ジュニア(令和元年5月24日より)
オリンパスAES620(令和元年5月23日まで)
基準範囲:令和元年5月24日より
蛋白分画 | 基準範囲 | |
アルブミン | 54.8〜65.4% | 3.9〜4.8g/dL |
α1-グロブリン | 2.3〜3.8% | 0.2〜0.3g/dL |
α2-グロブリン | 5.0〜8.9% | 0.4〜0.6g/dL |
β-グロブリン | 9.0〜14.6% | 0.6〜1.0g/dL |
γ-グロブリン | 13.2〜23.9% | 0.9〜1.8g/dL |
令和元年5月23日まで
蛋白分画 | 基準範囲 |
アルブミン | 60.9〜71.3% |
α1-グロブリン | 1.8〜2.7% |
α2-グロブリン | 5.9〜8.5% |
β-グロブリン | 6.9〜10.5% |
γ-グロブリン | 11.0〜21.2% |
A/G比 | 1.50〜2.43 |
従来品との比較
M蛋白一致率(96.7%)(117/121)
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エパライザ2 |
|||
(-) |
M? |
(+) |
||
AES320 |
(-) |
89 |
1 |
0 |
M? |
3 |
2 |
2 |
|
(+) |
0 |
0 |
24 |
採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管
関連項目
総蛋白(TP)
IgG(Immune globulin
G)
IgA(Immune globulin
A)
IgM(Immune globulin M)
ハプトグロビン
トランスフェリン(Tf)